第1章 定められた人生
「おやすみー」
「うぃーっす」
起床ラッパが聞こえない。今日は何曜日だっけ。関係ないか。聞こえないなら寝てもいいよね。……
寒くない?鳥の鳴き声?ちょっと待て。
「…おぉ?!」
被さっていた布団を払い退け腹が立つくらいに晴れた草原を見て関は情けない声を上げる。
「おい…田辺起きろって」
「ぁい…?……は?」
田辺に至っては布団すら無かった。よく寝れたな。
「…どこだと思う?」
「俺に聞かんでくださいよ…」
草がなびき、少し冷たい風が吹き、優しく太陽が照りつける。検討もつかん。
「ん?関さん下」
「ん?…んん?!」
足元には柄…強いて言えば魔法陣のような物が俺たちを中心に円を作っていた。
「これ…いったい…っ!なんだよ」
俺の右ポケットが小刻みに震え出す。中にはスマホのような機器が入っていた。画面には
[ホームボタンを押してロック解除] まんまiPh○neじゃないか。
「押せばいいのか」
「ん?…お!俺にも入ってました」
「一斉に押すか」
「あ、ハイ」
「「せーの」」[Pi!]
すると一人の女性が映し出された。20代後半だろうか。
[貴方がこのムービーを見ているのならこのiPh○neにも気づかれたのですね]
「「iPh○neだったんかい」」
[それでは貴方が置かれている状況をご説明しましょう]
なんだかんだ5分ちかくペラペラ喋られた。要約するなら
1.ここは地球やけど別の世界線、まぁ異世界の地球やで。
2.お前さんらは今からここで過ごしてもらう。
3.もちろん目的もあるけど教えるわけにはいかない。
4.そのiPh○neはただのiPh○neちゃうで。武器やら車両やら航空機に船とかまぁ装備品がポイントで買えるんやで
5.そのポイントはモンスターやら人やらまぁ生き物殺せば手に入るよ。
6.最初から10000ポイントあるで。
7.終わりや。
不満しかないが文句を言う手段がないのでとりあえず端末(iPh○ne)で武器を持つことにした。
「いっぱいあるな…」
武器、車両、航空機、艦船、服、医療品、携帯品、特殊装備、糧食とかなり手広く扱っていた。さらに武器を選ぶと拳銃、短機関銃、小銃、対戦車、対空etcとかなりのジャンルに分かれていた。その中に
[関スペシャル]「は?」
関スペシャルというジャンルがあった。田辺の端末には[田辺スペシャル]があった。開かない訳がない。
「どれどれ…」
内容は凄く名前通りだった。自衛官の時の実際に使っていた装備のラインナップだった。89式に9mm拳銃、3型迷彩服やらヘルメットやら3型防弾チョッキやら…しかもタダで。
「ポチッとな」
二人の服装がどんどん変わっていく。10秒しない内にフル装備になった。便利だな…。
「おっしゃ移動するか」
「歩いてですか…?」
「あぁ…車両があったな。どれに乗りたい?」
「戦車」
「ふざけんな二人で動かせるものか」
「…ハンヴィーはどうすか?」
「なにそれ」
「米軍のやつですよ…ハマーみたいな」
「あぁ、あのごっつい奴か。…いいね!ポチッ」
[4000ポイント消費しました]
ちなみに弾薬とか燃料は別で払うみたい。
「とりあえず乗るか」
「うぃーっす」
俺は運転席に、田辺はM2機関銃を操作できるように装甲が周りに取り付けられた銃座に乗った。なんか楽しそうだな…
「これからどうしますか」
「そうだなぁ…とりあえず走ろう」
「大雑把ですね…了解です」
とりあえず俺たちは近くの川に沿って下流にハンヴィーを走らせた。