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傀儡鎧と金属少女の西方征伐記  作者: 松房
第六章 再起動
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第6話 王都前編

受験生になる前に書き上げじゃ~

王都へ向かう車の中。

窓から見た外の景色は何処か元の世界じみた街中とは違い、異世界じみた物だった。

地面から生えた鈍色の木や、時々見かける動物と、人の死体は現代で一度も見た事が無いもので、今まで湧いてこなかった実感を今になって湧き上がらせる。

けど、死体を見る度普通なら感じる筈の逃避感の様なものを感じない事に違和感を拭えない。

そんな心残りも束の間、私は枝の様なものが生えた女性と言葉を重ねる。

彼女はリンセと言うらしい。

私は彼女に幾つか質問をした。頭の枝については触れなかったが、彼女は話す限り優しく、おっとりとした人間の様だ。

素直で、優しくて、後、胸があるリンセの事が少し羨ましい。

それから王都まではそう長く無かった。


王都まで辿り着き目にまず飛び込んで来るのは高さの揃えられた高層ビル群。その合間を縫い見えてきた王城は中世の様なデザインを保っていて周囲の風景とのギャップが凄まじい。

「すいません。あの機械は?」

ゲンさんが道の端に佇んだ人型の機械達を指さしてダルグドールさんに質問していた。

そのフォルムは何処か中世の騎士を思わせていて、例えるとWのトー○ギスに近いだろうか。

「あれは魔術人形(マジックマータ)の近接戦闘モデルです。我が国は完全にとはまだ言えませんが戦闘を魔術人形(マジックマータ)に任せ人間がその他の仕事をする事で生まれる最も効率的な最適解を実現しています。

機械に人権や、仕事の奪われる事の無い持ちつ持たれつの関係こそ我が先祖でもある英傑、ダザイ侯の目指した社会でもあるのですから」

「ほぉ。それは素晴らしい」

ゲンさんは感心していたが、私は別の事に引っかかった。

「ダザイ・・・」

そう。何となくこの国に元から存在していたとは考えられないその家名にどうにも聞き覚えがある。

決して親しくは無かったがそれなりに交流のあった人物。

この話もいずれ確かめなければと私は思った。


王様のいるという部屋の前までやって来るとダルグドールさんの表情にもやや緊張の色が見られる。

扉の前にいた衛士の様な人は私達を見ると部屋へ入っていく。

どうやら確認を取りに行ってくれているらしい。

そうして開いた扉の奥にはいかにも王といった角切りの髭を顎に付けた男性がドカッと座り込んでいる。

「君達が来訪者達かね」

「はい。彼らが来訪者達です」

「そうか」

王様はそれから暫く考え込む様に目を伏せるとこう言った。

「では、これから君達に君達が選ぶ事の出来る二種類の生き方を提案しよう。

一つは我が国に属す生き方。君達が我が国に属すると言うのならば、こちらから出す仕事の完遂と引き換えに身分や、生活。あらゆる面での保証を確約しよう。

そして、二つ目が我が国に属さない生き方だ。この生き方で行くと言うのなら最低限の物資を受け取ると共に即刻この国を去ってもらう」

そんな二択を迫られた私達だったが答えは一つだった。

渡された契約書の様な物と筆記具に自身の名前を書く。

横へ視線を向けるとセーレさんや、リンセさんの書く文字は見た事の無いもので、そう言えば何故言葉が通じるのだろうと疑問に思う。

先程の衛士の様な人が契約書を回収すると、王様は満足気に笑った。

「これから君達の処遇について話し合いたい所だが、まず、これから君達を寄越してくれと言う教会に向かってもらう。君、来訪者達を教会へ案内したまえ」

「は。了解致しました。さぁ皆さん私についてきて下さい」

私達は衛士に連れられ教会へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


応接間に中年男性の落ち着いた声が響く。

「本当に良かったのですか?|隷属魔術のかかった契約書スレェブァリィなんて書かせて」

国王はフッと不敵に笑う。

「良い良い。所詮異世界からの来訪者。気づかれて人権だなんだと言われても金属種(メタルム)の時と同じ様に人では無いと説明すれば良いのだ」

「左様ですか」

「あぁ。そうだとも。結果的に残った方が正義なのだからな。それと、これは餞別だ」

国王が差し出した葉巻を受け取るとナイフで先端を切り火をつける。

「腐っても国王である私の前で葉巻を吸うなど不敬だとは思わんのかね」

「私のあなたの仲です。それにあなたには今回の件も含め相当な仕事を押し付けられていますからね。それにこういうのあなた気にしないでしょう?」

「まぁ。それもそうだが」

そう呟くと国王も葉巻を吸い始めた。

「・・・二ヶ月後、金属種(メタルム)の掃討作戦を開始する事にした」

「ほぅ。これはまた突然ですね」

国王は一枚の報告書をこちらへ差し出す。

その内容に私は思わず目を剥いてしまった。

「っ!・・・金属種(メタルム)がアルムンストの庇護下にですか」

「そうだ。奴らはアルムンストの庇護下に入りその数を増やすだろう。なので散らばった奴らが合流する前に叩くのが今回の作戦だ」

国王はそこまで言うと”臭い”と言って葉巻の火をすり潰す。

「ダルグドール侯。魔術人形(マジックマータ)の製造はどうなっている?」


この後も会議は続いた。

何故主人公をヲタクチックにしたくなるのか・・・・

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