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第六話 二枚のおパンツ(洗濯済み)

 

 パンツは二枚っと。


 僕は家に帰るなりお風呂に入る準備をした。

 心音の言いつけ通りタンスからパンツを二枚取り出す。内、一枚はバスタオルの中に隠して。万が一、海乃と鉢合わせた時のリスクマネジメントも怠らない。完璧!


 そうして、さも履いていたかのように余分に取り出したパンツを一枚洗濯機に放る。よしっ。


 ミッションコンプリート!

 

 脱衣所で味わう達成感。ノーパンという罪が浄化される不思議な感覚。


 洗濯機に屠られしパンツはいつも通り。

 それは日常的で、ノーパンDAYの終わりを演出するには十分過ぎる光景だった。


 ここにパンツがある。昨日も一昨日も一日の務めを果たしたパンツは洗濯機に入る。


 そして、今日も勤めこそ果たしていないがパンツは洗濯機に入った。


 結果だけを見れば僕がノーパンでは無かったということ。


 如何に過程がノーパンだったとしても、洗濯機の中にはパンツがある! この結果こそが全て!!



 ジャッバーンッ! ノリノリでお風呂にダイブ!


 「ブクブクブクブク」

 浴槽に顔を埋め、「プハァ!」


 ノーパンだったのが嘘のように日常だ。戻ってきたんだ。


 「ブクブクブクブク……プッッハァ!」


 …………それにしても心音のやつ、ほんといい匂いしたなぁ〜。色々成長してたし……か、かわ、可愛かったなぁ。明日も……あ、会うんだよな……。


 はっ。けしからん‼︎ 僕はなんてけしからんやつ‼︎


 「ブクブクブクブク……」


 心音への想いを水の中で吐き出す空気に乗せて消していく。


 「ブクブクブクブク……」


 消えることなんてないのに、必死に……必死に何度も消していく。


 「ブクブクブクブク……」



 ──僕はまたクンクンすることになる。


 だって空気は吸い放題。同じ空気に居る以上、仕方のないこと。


 人が生きるということは空気しいては酸素を吸うこと。

 精一杯、見苦しい言い訳を託けてはクンクン……してしまう。



 それはまた、明日のお話。

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