第二十五話 ソノおパンツは全てを知っていた(下)
なろうコンの感想サービスから感想が入りましたっ!
感極まれりです\( 'ω')/
「ちょっとだけでいいんだけど……」
「コタ〜、しつこい男は嫌われるよ? まだダメって何回も言ってるでしょ」
鏡を見たいだけなのに……全部終わるまでダメと言って聞いてくれない。
言い分はわかるけど、気になる……。
もはや谷間を見てても落ち着かない。だって、化粧のコンセプトが怪しいんだ。
◇
「コタは可愛い顔してるから……ロリっぽさを、もっと、こう……強調させる……ように」
ほんと気になる。さっきから何度もロリって言葉が出てくるんだよ。
ロリってなに?
いや、わかるからこそ……間違いが起こる前に、途中経過を確認して……。
「ねえ心音──」
「だーめ! 良い加減にしないとギャルメイクにしちゃうよ? 付けまつげ三枚付けちゃうんだからね」
「……う」
この世にはロリメイクとギャルメイクしかないとでも言うのか。
でも、どちらか選べと言われたら……。
僕は静かに化粧が終わるのを待つことにした。
つまり、ロリメイクを……選んだ、と、いう……こ……と。
──そして、化粧が終わると次のステップへと進んでしまった。
◇◇◇
「ほーらっ。怖がらなくて大丈夫だよ。じっとしてればすぐ終わるから」
「……うん」
〝チョキチョキチョキ〟
前髪を切られている。
床に落ちる茶色い髪の毛。押し寄せる違和感に目がおどおどしてしまう。
だってその髪の毛は、自分のじゃないのだから。
考えもしなかったんだ。
化粧をして終わりだと思っていた。まさか僕がカツラを被るなんて……。
それも、ふわっとくしゅっとした、ゆるゆるふわふわの女の子が被りそうなやつ。
ゆるふわ……系?
よりによって僕……が?
ないない。ないないないない。
〝チョキチョキチョキ〟
「もうちょっとゆるい感じにふわっとさせたいんだけどなぁ〜」
ある……のか?
「僕、ゆるふわするのは嫌なんだけど」
「え。じゃあ縦巻きロールにする?」
「……う。やっぱりゆるふわしてください」
なぜだ。なぜ二択なのか。
◇◇◇
「よぉし完了〜! コタ専用ウィッグの完成だぁ!」
「も、もうわかったから。早く鏡見せて‼︎」
僕がゆるふわ系ロリだなんて、そんなはずないんだ! 縦巻きロール系ギャルでもないんだからな!
「まだダメ。ちゃんと全部終わってからって言ってるでしょ?」
「ま、まだ終わりじゃないの⁈」
「そうだよ。これからコタはお着替えするんだから」
「お着……替え?」
「そっ。女の子の洋服を着るの。それで完成」
そう言うと心音は立ち上がりタンスをゴソゴソし出した。
もう既に心音の服を着ている。オフショルワンピース……。これじゃ役不足ってことか。
いったいどんな服を。
まさか、ロ、ロリ系の服?
そう思っていると、意外にも心音が取り出したのは体操着だった。
ん……? た、体操着⁈
「え、なにそれ? なんでそれが出てくる⁈」
意味のわからないチョイスに思わずツッコミを入れてしまう。
「えー、嫌なの?」
「嫌に決まってるだろ‼︎」
あれ……。でも確か昨日は体操着を懇願したんだっけ。これだと、昨日と言ってることが……逆?
いや、女の子になりたいんだから……今日は正解だ!
「えー、でもほら女子の体操服だよ? しかも女子高のだよ? この体操服は女の子しか着れないやつなの。コタは女の子になりたいんでしょ?」
あ、そこに繋がるのか。
え、ていうかそうだよ。心音は女子校……う、わぁ……。
でも。で……も。
そうだよな。僕は女の子になりたい。そういうことになっているんだ。……これは喜んで着ないとダメなやつだ。
「それもそうだな。女子高の体操服。うん。じゃあそれ着ようかな。ちょうど着たいと思っていたところだったんだよ! これで女の子になれる! やったぁー!」
心音が持つ体操着に手を伸ばした時だった。
「……冗談だよコタ。もう、よくわかった。……ねえ、週末の花火大会、一緒に行こっ?」
それは、話の前後がまったく繋がっていなかった。
先ほども似たような引っ掛かりを覚えたときがあった。
──何かが、変だ。……おかしい。
次話へと続きます。上中下で三話にする予定だったのですが、四話になってしまいました。
明日更新できると思います(キリッ




