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メガネ君のちょっと怪奇な日常譚  作者: chiwa
ひとりかくれんぼ
26/27

到着

「ついたぞ」


声をかけられて目を覚ました。

いつの間にか眠ってたみたいだ。

あんなに緊張してたのに。ハクちゃんのおかげだろうなぁ。

ふと、膝の上を見るといつの間にかハクちゃんがいて、

すやすやと眠っていた。


「すまんな。途中でお前の膝の上を陣取ってな」


メガネ先輩が笑ながらハクちゃんを回収した。


「しかしすごいな。そのおかげで車の中が癒しのスポットになってたな。

お前の能力ってすごいんだな…」


キラキラした瞳で美人先輩が覗き込んできて、ちょっと気圧された。

この人、ホントものっすごい美人だなぁ。

ほとんど左右対称の顔って初めて見たかも。

同性だと分かってても、ふとした表情や距離にドキッとする。

顔も小さくて、神に愛された人ってこういう事を言うんだろうなぁと

ちょっとだけ自分と比べて落ち込んでしまった。

考えても仕方ない事だと分かってるんだけど。


そんな先ない事を考えながら車を降りて先輩たちの後についていくと、

その先にご住職と思わしき初老の男性が仁王立ちで立っていた。


「本日は急なお願いにもかかわらず、受けて頂いてありがとうございます。

こいつが、その問題児です」


メガネ先輩に背中を押されてずずいとご住職の前に出された。


「は、はじめまして。本日はお世話になります。ご迷惑をおかけして

申し訳ありません」


僕をじっと見て組んでいた腕を解いたご住職は、ふぅとひとつ息を吐いた。


「このっ・・・大バカ者がっ!!!!」


ゴンッ



「!!!!」


腹に響く怒鳴り声がしたと同時に脳天から足先まで重く鈍い痛みが走った。

あまりの痛さに声も出ない。

一瞬何が起きたか分からなかったけど、ちょっとしてからご住職にげん骨を

落とされたのだと分かった。


「いぅぅうううう・・・」


「まったく。このくらいで済んで良かったんだぞ。こんの大バカ者」


「いたっ!」


次はデコピンを食らった。しかもかなり痛い。

ぅぅぅ・・・おでこに穴開いてないかな?


「して、こんなに邪悪な塊を呼んだ経緯を話してもらおうか。

ここにいたら不味い。本堂に移動しよう。

今は結界で遮られていて向こうはお前を目視できていないが気配で気づいている。

奴はこの境内の外をぐるぐる徘徊しておるぞ」


「ひぅっ・・・」


「そんなにビビるなら、こんな得体の知れないものを呼ぶんじゃないよ、

まったく・・・」


「ご、ごめんなさい・・・」


「まぁ、いい。こっちへ来なさい」


「じゃあ、俺らはここで」


「えっ!?先輩たち、帰っちゃうんですか?!」


「あぁ。だって、ここにいても仕方ないしな」


「そ、そんなぁ・・・」


「いてもなにもやれる事ないだろ?」


「そ、そうですけど・・・図々しいのは分かってますけど、

いてもらえると心強いです」


「そ、そうだぞ!後輩残念メガネが可哀想じゃないか!」


「アンタは黙っててください。なんつー失礼なあだ名付けてんだよ。

それにアンタは自分の好奇心を満たしたいだけでしょうが」


今は、そんな美人先輩の好奇心ですらすがりたかった僕は必死で

先輩たちにお願いした。


「僕としてもいてくれると心強いし、先輩の好奇心を満たしてもらえるなら

いくらでも見て下さい!!きっと、こんな体験これから出来ないと思うんです!」


「そうだよな!残念後輩!!」


「はいっ!!」


「アンタらなんつー・・・ん?」


横を見るとハクちゃんがメガネ先輩の袖をクイクイと引っ張って

じっと先輩を見つめていた。


「――んぐぐぐぐぐ・・・はぁ。分かったよ。

ハクがどうしてもって言うから、一緒にいてやる。この貸しはデカイぞ」


「あ、ありがどうございまずぅぅううう!!

ハグぢぁぁぁーーん!ありがどーーー!」


ニコニコと笑ってほっぺを赤くして、着物の袖をパタパタして照れている。

癒される・・・。


「可愛いな、ハクは。はぁ・・・」


先輩も癒されたらしく、眼尻が垂れ下がってだらしない顔になっている。

その横でニンマリと笑う美人先輩。目が爛々と輝いていて怖い。


「話はまとまったか?今回は特別だぞ。ほら、行くぞ。

そこの坊主の気配が濃厚になったのか、奴の動きが激しくなってきた。

すぐに破られる事はないだろうが、時間の問題でもある。

本堂は堅牢に結界を張っているから、奴の目くらましになるだろう」


その言葉を聞いて僕らは慌ててご住職の後について行った。

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