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メガネ君のちょっと怪奇な日常譚  作者: chiwa
ひとりかくれんぼ
25/27

閑話休題 とある昼下がり

「ん?どうしたハク」


それまで俺の膝の上で惰眠を貪っていたハクが目を覚まし

キョロキョロし始め、目の前に座っていた後輩を見てニコニコし始めた。

(ヘビに表情はないけど、そんな風に見えた)


「ハクが愛想を振りまくなんて珍しいな」

「せ、先輩その白蛇って、着物姿の人ですよね?」

「ん?あぁ。そうか。お前はその姿を見た事あったな」

「はい。なんというか……可愛らしい方ですよね」

「そうだな。ハクってなんか萌えツボを刺激してくるんだよなー……ん?」


ハクが後輩の方を見てソワソワしてちょっと行きたそうにしている。

こんな反応は本当に珍しい。


「お前、蛇とか大丈夫か?」

「え?そ、そんなに得意ではないですけど、その子なら大丈夫です」

「もし嫌じゃなかったら撫でてもらえないか?」

「えぇっ?!い、いいんですか?」

「うん。ちょっとご挨拶に行きたがってるみたいだからな」


ハクを持ち上げて後輩に渡すと、ハクが俺を振り返った。

いいの?と聞いているみたいだ。

お前は忠犬ならぬ忠蛇だなぁ。


「いいよ。気になるんだろう?」


笑って言うと、ぴょんとジャンプした。

許可が出て嬉しいというところか。別に許可なんて必要ないのに。

……ちょっとだけ、妬けるから、まぁ、そういう態度嬉しいけどな。


後輩の膝に乗ったハクはなんだかうっとりという表情で撫でられている。


「あらあらあら!ハクちゃんがメガネ君以外にデレてるなんて珍しい」


珈琲を淹れて来てくれたモモちゃん先輩がそんなハクの姿に驚いている。


「えぇ。珍しいですよね」

「ふふ……妬ける?」

「いや、別に。……いえ、ちょっとだけ」

「うふふ。そうよねー。でも一番大好きなのは君なんだから」

「それは分かってますよ」

「あらあら!でも、どうしたのかしらねぇ?

彼とじっくり会うのは初めてじゃない?」

「はい。モモちゃん先輩にも懐いてますけど、

彼にはちょっと様子が違いますよね。だから珍しくて……ん?」


空気がふわっと変わった。

なんというか、ハクが浄化してくれる空気が濃密になった感じ。


「ねぇ。なんだかすっごく気持ち良くない?清々しいのにリラックスできるというか」

「はい。俺もそう思いました。ハクの力だと思うのですが、

ここまで濃密なのは初めてですね……げっ」


部屋の扉が開いて、設楽先輩とチビ先が入ってきた。


「僕の顔を見てその態度はなんだ。失礼な奴だな!」


チビ先が目ざとく気づいてキャンキャン言い始めた。

しまった。不意打ちすぎて出てしまった。あぁ……うるさい。


「まぁまぁ。2人とも珈琲のむ?今淹れたばかりなのよ」

「いただこう」

「あぁ。モモの珈琲を飲むために今日は来たようなもんだからな。

すまん。ありがとう」

「うふふ。ちょっと待っててね」


チビ先、なんで俺の隣に座るんだよ。暑苦しいな。


「ん?珍しいな。それに、空気の色がすごい。キラキラしてるぞ。

こいつは何をしたんだ?」


チビ先が後輩の膝の上でくつろいでいるハクを見て言った。


「いや。分かんないんすよ。突然空気感が変わったというか」

「こいつのせいだな」


ポンと後輩の頭に手を乗せた設楽先輩が言った。


「え?僕ですか?」

「そ。君は増幅器だしエネルギーの塊だ。ハクが居心地良くなって

いつも以上に能力が倍々になっている。おかげで今、このゼミ室はちょっとした

パワースポット状態だ。こないだ買った羊羹開けよう。

とっておきはこの空気の中で食いたい。」


設楽先輩が笑った。


「なるほど。そういうわけだったのね」


珈琲を持ってきたモモちゃん先輩が2人に珈琲を渡して

後輩の隣に座り、ハクを指で撫でている。

ますますうっとりとするハクを見てると眠くなってくるな。


「なんというか、このゼミ室は珍獣ばかりだな」


チビ先、お前が言うなよ。


「不思議な蛇憑きの彼に、増幅器の彼。

この2人が組んだらなんだか面白そうじゃない?」


モモちゃん先輩が閃いた!という感じで手を合わせた。

マッチョな男がやったらキモイ仕草だと思うが、

モモちゃん先輩がやるとなんか可愛らしいんだよな。不思議だ。


「女子みたいな仕草するな。気持ち悪いな」


こいつは本当に口が悪いな。


「なぁに?妬いてるの?」


にまぁっと笑うモモちゃん先輩。


「な!誰がこいつらに!!意味が分からん!……ぶっふぉぉ」

「うわっ!きったねぇ!」


がぶっとカフェオレを一気に飲んだチビ先が熱さに噴いた。

しかも俺に向かって。


「あんた何でこっち向いて噴き出すんだよ!きったねぇな!

あー!染みになる!!!」

「す、すまん。ででででも悪気があったわけじゃないんだ」

「あーーーもーーー。あんたも服にかかってるじゃないですか。

ほらもう、脱いで!さっさと染み抜きしますよ!」

「すすすすすまん……」




顔を真っ赤にしている美人先輩と、嫌そうな顔をしつつも

何だかんだと世話をするメガネ先輩。


「あの2人って、絶対に仲良しですよね」

「うん。仲良しね。ちぃちゃん彼の事大好きよね」

「やっぱり?」

「えぇ。あんな可愛いちぃちゃん見れるなんて役得役得」


ほくほく顔でモモちゃん先輩が言った。

僕の膝の上でとぐろを巻くハクちゃんが騒いでいる不思議そうに2人見ている。


「あはは。このゼミ室も随分と賑やかになったよなぁ。

もうちょっと大学に来るの増やそうかな」


設楽先輩がとっておきの羊羹を頬張りながら幸せそうに言った。

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