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メガネ君のちょっと怪奇な日常譚  作者: chiwa
ひとりかくれんぼ
23/27

合流

ちょっとでも気を抜いたら足を止めてしまいそうになる。

アイツがどこまで迫っているのか、後ろを確認できないから分からない。


(商店街の明かりだ!!!!)


目前に見覚えのある通りが見えた。


僕の家から最寄り駅は2つある。

地下鉄とJR。それぞれ反対方向に位置する並びになっている。


商店街から最も近いのがJR。

地下鉄だと商店街を抜けて少し暗い道を通ることになる。


(そうだ。電話…)


僕はメガネ先輩から着信があった事を思い出した。

スマホの画面を見ると、何度か着信が入っていた。


とりあえず人通りがたくさんある商店街に入って、

何とか息を整えてからメガネ先輩に電話をかけ直した。


「もっ…もしもし。先輩?」


「おいっ!お前、何か変な事に巻き込まれてないか?」


開口一番これである。なんで?


「えっ?あ、はい…実は…」


僕は、ひとりかくれんぼをしたこと。

とんでもない物が部屋に出てきたこと。

今、家から抜け出して外にいることを説明した。


「お前…」


先輩はしばらく絶句してから言った。


「お前はっ!自分の性質ちゃんと理解してんの?!

設楽先輩お墨付きの増幅器だぞ!あぁ…もうっ!」


ごめんなさい…だって、まさかこんな事になるなんて…。


「ハクが騒ぎ出したんだよ。とにかくお前に今すぐ連絡しろって。ハクの様子から、とにかくヤバいって事だけは分かったからさ」


ハクちゃん…いや、ハク様っ!!!!


「とにかく、このままじゃダメだろ。ちょっと待ってろ。

すぐにかけ直すから。動くなよ!」


電話は一方的に切れた。

先輩と話した事で少し落ち着いて周りが見えるようになってきた。後ろを確認する。


大丈夫。アイツは来てない。

でも、きっと探し回ってるはず。

追いつかれるのも時間の問題だ。


商店街を見渡す。

いつも通りの風景。

仕事帰りの人々が夕飯の買い物をしている。


「はぁ…一先ず助かったぁ」


間の悪い事に、こんな時に頼りになる瑞慶覧姉弟は

連休で沖縄に里帰り中なんだ。

ブーッブーッとスマホが震えた。画面を見るとメガネ先輩だ。


「はい。もしもし?」


「車をモモちゃん先輩から借りる事にしたから、迎えに行くわ。詳しいことは道中話すから、とりあえずK立駅に向かってくれ。

あ。金は大丈夫か?」


「K立駅…?分かりました。そっちに向かいます。

はい。ICカードにお金入ってるので大丈夫です」


そう。万が一のために、現金数千円とICカードはポケットに突っ込んでおいたんだ。

今となっては過去の自分を盛大に褒め称えたい。


「了解。じゃ、K立駅で」


電話は切れた。

K立駅だとJRになる。助かった。

急いで駅に向かい、ちょうど来た電車に飛び乗った。


車両に入って違和感を感じた。

なんだろうと考えると、車内があまり混んでないからだと気づいた。

本来なら、平日のこの時間帯は激混みのはずなのに。


僕は首を捻りながら、扉に肩をあずけた。

ふーっと息を吐いて足元を見ると


(そうだ。靴下のままだったんだ…)


安心したら急にそういったことが気になり始めた。

うあー。あの人気づいて僕を3度見したよぉ。

だよねぇ…。


最寄駅からK立駅まで快速で約30分。

気まずい僕はちょっとモゾモゾしてしまった。


(あ!そうだ。スレに報告しなくちゃ)


その前に…アイツはどうなったんだろう?

電車の窓から外を見る。


(ん…?げっ)


アイツの足らしきものが車体にしがみ付いているのが見えた。

幸いなことに、アイツが引っ付いているのは隣の車両だ。

どういう仕組みなのかは分からないけど、

僕を辿ってこれるみたいだ。


(今なら写メ撮れるかな?)


隣の車両に近づいて、写メを撮る。

なんとか“らしき”ものが撮れた。

周りの人が奇異な目でみているけど、仕方がない。



600.1

なんとか逃げた。知り合いが迎えに来てくれることになったから

しばらく音信不通になると思う。

いま電車の中なんだけど、エヴァが着いてきてる。


http://〇〇〇.com/v3Cxa~


601.ななし

待ってた!待ってたよぉぉぉおお!

イチ、大丈夫か?


602.ななし

ああああああ!良かったぁぁああ!


603.ななし

そんな中、写メうぷする1に漢を感じた。

っていうか、ヤバくね?これ。


604.ななし

はいはい。釣り釣り。どうせこのまま逃げるんだろ?

って思って画像開いたらマジくせぇ。

これ、ヤバいだろ。


610.1

知り合いがどこかに連れて行ってくれるみたい。

片が付いたら報告にきます。

みんなが知りたいならだけど…。


611.ななし

ここまで来て結末知りたくないやつなんておらんやろ。

正座で全裸待機しとく。


612.ななし

俺も!いつまでも待ってるからぁぁああ!



その後も思った以上に待ってる声が大きかったから、

僕は事が片付いたら報告する約束をした。


それにしても…あの生き物?はなんなんだろう。

そして、いったい何が起きたんだろう。

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