逃走
300.1
蜘蛛みたいなやつが部屋にいる。
エヴァみたいな感じのやつ。
顔がオッサン顔なんだ!
305.ななし
釣りでもいい。面白い!
306.ななし
そうきたかーーー!人形じゃないとか
考えてもなかったわ
330.ななし
っていうか、イッチやばくね?
逃げた方がよくね?
331.ななし
うん。そう思う。マジで逃げた方がいいぞ
400.ななし
頼む!釣りであってくれ!!!
403.ななし
何号機?
401.1
>403
なんか、動きが第じゅう使徒を食うときの暴走した
初号機みたいな動きしてる。
410.ななし
キタコレ!初号機!!
僕は、階下をそっとのぞき見る。
今やその化け物は砂嵐が映っているテレビに齧り付き、
その顔を画面すれすれに近づけている。
その口からは不気味な鳴き声が漏れ出ている。
グギャッ!グギャギャギャギャ!!ギャギャギャギャ!
(笑って…るのかな?アイツには何が見えてるんだ??)
40インチのテレビを覆いつくすように、
四肢でテレビの枠を掴んでいる。
その姿をそっと動画を撮った。
(逆さ顔でどんなものを見てるんだろう?見にくいだろうに)
そんな事を考えて現実逃避をしてしまった。
僕は画面に目を落とすと、そこは祭状態になっていた。
そりゃそうだ。
420.1
怖い。エヴァ、テレビにしがみ付いて多分わらってる
で、これ動画スクショしたやつ
http://〇〇〇.com/v8Axc~
421.ななし
マジ!うおぉぉぉおおーー!!!
430.ななし
なんか、ファイル壊れてて見れないんだけど
432.ななし
あたしもー。見れないよー?
440.ななし
やべぇ。コレまじやべぇ。1、もう実況いいから今すぐ逃げろ。
頼む。逃げてくれ。
441.ななし
なんかいまいち見えないけど、でかい黒い塊がいるな。
言われてみるとクモみたいで、エヴァとは言い得て妙だ。
445.ななし
440のいうとおりだ。今すぐにげろ。死ぬぞこれ。
446.ななし
暗すぎて見えねぇよ。
僕は、アプリを使ってすこし明度を上げて再アップした。
この見えてる恐怖を誰かに正確に伝えたくなったんだ。
500.ななし
うーん。相変わらず壊れて見れない
501.ななし
見れた!暗いけど、エヴァっぽいのがいるの分かる!
てかこれマジ?やばくね?
スレの雰囲気が一気に変わって、みんなが今すぐ逃げろと言い出した。
僕もさすがに逃げようと考え始めていた。
その時―
ブブブブ ブブブブ ブブブブ
スマホのマナーモードでバイブ音がした。
慌てて画面を見ると
(メガネ先輩?!)
そこにはメガネ先輩と表示が。
初めて電話がかかってきた事は嬉しいけど、よりによってこんな時に!
慌てて切りボタンをタッチして強制終了させた。
そろーっと押し入れの隙間から外をのぞくと
ギギュ ギュ ギッ
奇声を発しながら奴がキョロキョロと周りを見渡している。
やばい。音に気づかれた。
僕が見つかるのも時間の問題だ。
実は、ひとりかくれんぼが成功した時に相手の気をそらせる目的で、リモコン式の間接照明を用意してたんだ。
本当に使う状況が来るなんて…。
リモコンでONスイッチを押す。
(え!?点かない!うそ!うそでしょ!!)
僕は半泣きで狂ったようにスイッチの入り切りを繰り返した。
始める前に確認した時は問題なく点いたのに!!
何度か繰り返すと、やっと明かりが点いた。
突然明かりが点いたせいか奴は驚いたように奇声を上げた。
ギャッ ギュギャギュ
ガササと奴が移動する音がした。
(今だっ!!!!!)
僕は、ロフトから階段を使わずに飛び降りた。
ダンッ!
着地をしてパッと奴を見ると、音に気づいてこちらに顔が向いていた。
目が合ったような気がしたけど、奴は僕を認識できてないようで音の正体を探しているような素振りをした。
(急についた明かりで目くらましになったのかな?)
次の瞬間、僕は口に含んでいた塩水を噴き出してしまった。
「ぐっ!がはっ!ごほっ!」
奴が僕に気づいた。
「やばっ!」
僕は咄嗟に奴の視線を隠すように片手をかざしつつ奴の顔を押しのけ、振り向きざまに部屋から出てガチャガチャと玄関の鍵を開けて外へ飛び出した。
靴なんか履いている余裕がなかった。
まさか、念には念をと逃走手段(間接照明)を確保したことが本当に役に立つ事になるなんて…。




