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第一章 家族

「やぁやぁカイル君。我が娘は良かったかね?」

「これ以上ないほど良いです」

「野郎どもしばくぞ」


 レースフェルト公爵家当主のライル・レースフェルト。

 カイルの名づけに関わったそう。下ネタ自重せんかい。


「きっと我が娘はこの会話を下ネタと勘違いしているに違いない。全く失礼甚だしいと思わないかね」

「思います」

「アンタたちは私に失礼甚だしいと思わないの?」


 ちなみにこのライル・レースフェルト。衝撃の事実がございます。それは。


 攻 略 対 象 で す 。


 『全性癖に合わせた全米が鼻で笑う乙女ゲーム』がキャッチコピーのトンデモなゲームなのである。(新事実)

 なので最初は『は? お前と俺が釣り合うと思ってるわけ?』と言っていたカイルが『僕ぅ、●●しゅきぃ……♡‬』と言い、自宅のトイレの前にスタンバイするシーンなどがまかり通っていたり、他にも最初は真面目系だと思っていた人が自宅の廊下にスタンバイして主人公に踏んでもらって嬌声を上げると言った行為が微笑みと共にスルーされると言うゲームの特性で、普段乙女ゲームをやらない人も笑顔でプレイしていたり、DSのソフトになったお陰で女子小学生がニコニコ笑顔で特殊過ぎる下ネタを言ったりと言う事案が発生したりしたが……。


 その中でもレア度が高いらしい『変なおっさん』ルートが我が父、ライル・レースフェルトである。

 何だよ変なおっさんルートって。そういう意見が殺到したそうだが、なぜか人気投票で2位に躍り出た輝かしい功績を持つ我が父。非難より支持の方が多いので非難をねじ伏せた。

 ちなみに齢16で子を為したのでゲーム開始は30歳から。そこまでおっさんでもないので『変なお兄さんルート』でもある。それでも需要は未だ謎である。

 妻子持ちだぞオイ。

 そこでも悪役令嬢である私、ラミ・レースフェルトは邪魔して来るらしい。

 何やってんだ私。

 まあ、どっちかと言うとそのルートの悪役は我が母、ミライ・レースフェルトであるが、どう考えても悪役お前だろヒロイン。

 何クラスメイトの父親誑かしてんだ。


 そんな何故企画通った、という疑問が湧き出る本作の人間はまあカオスなわけで。


「お母さん、ホテルの無料券貰ったのよ。カイル君、どう? 要る?」

「要ります」

「いい加減にしろ」


 ちなみにこのお母さんも攻略対象である。

 さらにこのルートにも悪役として私が出てくる。主な悪役はお父さんだが。

 何故主な悪役がお巡りさんや裁判官にならなかったのかと言う疑問がほぼ全ルート共通している。

 ていうか台詞のある役は全員攻略対象だと思っていいレベルである。モブはだいたいみんな同じ結末になるらしいが。



「もう、どうしてラミはいつも僕の素敵な申し出を却下するんですか!」

「どうしていつも私の意見を拾って下さらないのですか」

「ラミ、成長したな……」

「いつからあなたは私の親か兄になったのですか」

「もう家族ぐるみの付き合いじゃないか! そろそろ『マイダーリンカイルくん♡‬』と呼んでも良いと思うのだが!」

「誰が呼ぶか」


 ホントいい加減にしてよね、私がカイルの事をそんな風に呼ぶなんて……。


「呼んだら今日の所は帰ります」

「マイダーリンカイルくん♡‬」

「ンンンンンン! 複雑ゥゥゥゥゥ!」


 呼べって言ったのカイルの方ですよね。マイダーリンカイルくん♡‬


「じゃあ今日の所は帰るけど……。この手紙すぐ読んでね」


 一通の手紙を机の上に置くと。


「じゃあね! マイハニーラミちゅわん♡‬」


 家の前に落とし穴でも作った方が良いのかしら。

 私は早速手紙を読む。


『今日は王城で舞踏会のあとラミのダーリン・カイルくんとラミ(マイハニー♡‬)の宿泊会を開催します。絶対来てね☆

 P.S。 ラミ~! 野球(意味深)やろうぜ!』

「ああああああああああああああああああああああああああああ!」


 私は絶叫しながら手紙を破り捨てた。

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