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第一章 自宅にて

「ハァハァ……! コレだよコレ! ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥバァァァァァァァァァァァァ(ベッドから勢いよく息を吸う音)」

「ダ●ソンかよ。ていうか何やってんですか」

「あれっ、もう帰ってたの!? そうならそうだと早く言ってくれたらよかったのに」

「言ってたら証拠隠滅してたんですよね!?」

「流石マイハニー、聡明なお方だ」

「合ってるんですね!?」


 家に帰ると婚約者である第一王子が私のベッドのダニ吸引器になってました。

 何だこれ。


「さあ、おいで……」(イケボ)

「何するつもりですか」

「とんだエロガキだな」

「アンタがエロガキだわ」


 間接的に下ネタを言う男、それが我が国の第一王子・カイル。


「そ、そんな思ってる事じゃないよ!? 邪推しないでよ!」

「え? そうだったの?」

「ただ次世代の王子や王女を作りたいだけだよ!」

「言い方変えただけですよね?」

「流石良妻賢母予備軍ラミだ。僕の妻は優秀だな」

「合ってるんですね!?」


 はぁ……。

 私は思わずため息を吐いてしまう。

 どうせ帰れって言っても帰ってくれないんだろうなぁ。

 そう思った私は。


「まあお茶でも飲みます?」

「飲むぅ!」


 良い返事だ。

「うへへへへへへへへへへへへへへへへへへ」

「はよ飲んでくれません?」

「ヤダ! 家宝にする!!」

「蒸発しますし菌が増殖して大変な事になりますよ」

「僕の事心配してくれるんだね!?」

「いえ、私は紅茶の心配をしているんです」


 私が飲んでいたティーカップを机の上の小皿に置いた刹那。


『スッ……』


 カイル様が私の頭の横に右手を差し伸べて来た。


「何ですコレ」

「壁ドン」

「壁が無いのですが」

「ぼ……俺、お前の事好きだぜ……」

「何事もなかったかのように告白を始めるカイルさん流石です」

「そ、そう?」


そう言い、顔を赤らめるカイル様。

 幸せそうな人生ですね。

 あ、そういえばカイル様に言って無かったことがあったな。

 悪役令嬢と言う自覚が余りにもない私だけど、回避方法くらいは思いつく。

 何の違和感も無くカイル様から離れ、学園のイベントも遠ざけることのできるこの手段!


「私、隣国のシュナイダー・ノアール国に留学しようと思うのです」

「奇遇だね、僕もそこに留学を検討していたんだけど、ラミから離れたくなくて……。でもラミも来てくれるんだね、嬉しいよ」

「!!??」


 えっえっえっ?

 そんなイベントあったっけ?


『ヒロインは美術が得意』

『我が国は美術で有名』

     ↓

『じゃあ留学する必要はないわよね』


 じゃあ元々カイル様が隣国のシュナイダーに留学を検討していたら?

 ていうかゲームの影響なのかしら。この国は日本語で、何故か隣国はフランス語設定なのよね。

 そんな現実逃避をしていると。


「シュナイダーに愛の巣をつくりに行こう……」

「あなた王位継承権1位でしょう」

「2位に譲る!」

「勝手なこと言わないで下さいよ! 私は留学の末はここに住む予定なのですから!」

「そう? じゃあ王位継ぐ」

「……」


 ホントに何でここまで私の事が好きなのかしらこの王子。


「あ、結婚式は隣国で挙げたい? もー、しょうがないなぁ」

「そもそも結婚するなんて言ってません!」

「もう婚約してるようなものじゃん?」

「書類上はクリーンです、私!」

「じゃあその書類を俺の名前で汚してやるよ……」

「どうして急に俺様系的な感じになったのですか!?」

「そういうのがタイプなのかなぁって」

「好きになった人がタイプに決まってるでしょう!」


 しまった、余計な事を言ってしまったのかもしれない。


「じゃあ僕の事を好いてくれる確率は……高い!?」

「決して高くは無いと思います」


 最難関キャラの面影はどこへやら、完全にルートに入った後の好き好きストーカーになってしまった。


「結婚してください。それか婚前交しょ」

「この国では貴族が婚前交渉したら責任として婚約することとなってます!」

「知ってる」


 デスヨネー。

 その後も『スカッ、スカッ』と連続で壁無し壁ドンを繰り返すカイル様。

 残念……!

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