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プロローグ
『ドサッ』
「……ッ! ラミ! ラミ! 誰か来てくれ!」
私を案じてこの国の第1王子であり、なおかつ私の婚約者でもあるカイル様がしきりに私の名前を呼んでいる。
大丈夫ですよ、カイル様。私は平気です。
いや、内心はちょっとは混乱しているがーー。
『エターナル・ラブ~中世の世界の王妃~』これがこの世界のゲームである。
ちょっと自分でも何言ってんだかと思ってしまうが、事実なのだから仕方がない。
ここは私のよく知る乙女ゲームの世界・『エタラブ』の世界である。
で、私はその世界の悪役令嬢。
なぜだ。
どうして私がヒロインじゃなのよぉぉぉ!
そう言いたくもなったが、はたとその思考回路を止める。
悪役令嬢であるラミ・レースフェルトとここ、シュバルツ・エンペラー国第1王子であるカイル・シュバルツ・エンペラーの仲は険悪だったはず。
ならばどうして。
「大丈夫なんだね!? じゃあぎゅっとしてー。ちゅ」
「やめてください」
「えー、いけずぅ」
「ド変態王子!」
「それは褒め言葉で大丈夫なんだよね!? そうだよね!?」
この溺愛ぶりはなんなのでしょうか。