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ぼっちの僕がクラスメイトに告白されたわけ。  作者: 今無 いま
残り三日
67/73

一葉がいきなり妹と結婚してほしいと言ったわけ

 

「すいません、少しだけトイレに行かせてください」


 本当はトイレに行きたいとは思っていない僕は一葉さんのプレッシャーから逃げるためだけにそう言うと「あぁいいよ。トイレは一番奥にあるから」と一葉さんはオセロ盤をマジマジ見ながらそう言った。その集中している様子から一葉が本気で勝つつもりだと言うことが伺える。

 僕は席を立ち上がり、リビングを出て一番奥にあるトイレに向かい、トイレのドアを開けた――と思ったら、そこはトイレではなかった。ただの洗面所だった。

 あれ?一葉さん、一番奥にあるて言ってたよな?

 僕は試しに左壁にあるドアを開けてみる。するとそこがトイレだった。


「……」


 確かに奥だけど一番ではないよな。

 そんなことを思いながら僕はそのまま便座に座り、どうして一葉さんはいきなりあんなことを言ったのか考える。

 まだ一花と僕は高校生だと言うのにいきなり妹と結婚して欲しいなんてありえないことだろう。それに一葉さんと僕は今日、先ほどスーパーで知り合ったばかりなのだ。そんなどこの誰かもわからない妹との友人というだけの存在をそんなに信じられるものなのか?

 それは人間不信の僕には理解できないことだった。


「とりあえず……」


 僕は立ち上がりそう呟く。

 このゲーム、僕は勝つべきだろう。僕に勝つメリットなんてないが、しかし僕はこんなゲームで自分の結婚相手を決められたくないし、その気持ちはきっと一花だって同じだろう。

 しかし問題は一葉さんに勝てるかどうかだった。オセロを持っているということは小さい頃から、あるいは現在進行形でそれなりにやっているということを意味していし、僕は別にオセロのプロではないが対戦してこの人強いなと感じた。

 もしかしたら一葉さんがいきなりあんなことを言ったのは僕の心をかき乱して勝つつもりなのかもしれない。

 そう考えると一葉さんはやはり侮れない。

 このゲーム、油断したら負ける。

 気をつけなければいけないなと思いながら僕はトイレを出てリビングに向かおうとしたとき、「うん?」と僕は首を傾げた。

 僕は先程トイレだと間違えて開けた洗面所のドアを開ける。どうして洗面所を見たのかというと一つだけ気になったことがあったからだ。

 だけどそれが一体なんなのかわからない。

 なんだ?僕は一体何が気になってしょうがないんだ?

 僕は洗面所をよく観察する。

 清潔感のある白い洗面台。そしてその洗面台にはコップと赤と青の二つの歯ブラシとミント味の歯ブラシと歯磨き粉、それに化粧水や洗顔クリームなどが置かれてある。壁につけられたフックはこれもまた清潔感のある白いタオルがかけられていて、洗面台の隣にはドラム式の洗濯が置かれてあり、そのちょうど真上には洗剤なとが入れられる戸棚がある。そして今、僕が開けたドアの向こう側の壁にはまたドアがあったがそれは明らかにお風呂のドアだった。本当はお風呂も調べたかったが、さすがに人の家なのでそういうわけにもいかないだろう。

 さて粗方観察は終わったが、一体僕は何が気になっているのだろうか?

 僕はしばらくその場で考える。

 考える。

 考える。

 考える。

 考える。

 考える。

 そして――


「あっ」


 気づいてしまった。

 ある違和感に。

 一花は家族と暮らしている。そのはずだ。他に兄弟がいなければきっと一花と一葉さんとそして父と母、この家は四人で暮らしだということが推測できる。いや、一葉さんはきっと社会人なのでもしかしたらこの家には住んでいなかって今日たまたま実家に帰ってきただけかもしれないが、でもそれでもこれはおかしかった。


「どうして歯ブラシが二つしかないんだ?」


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