僕がガルガル君に詳しいわけ
部活が終えて僕たちはコンビニ寄ってお互いにアイスを買った。いや買ったていうか奢らさせた。どうやら今日の授業料らしい。
そして僕たちは買ったアイスをコンビニの外でさっそく食べていたのだった。
「うん、やっぱりガルガル君はソーダ味が一番ね。昔、クリームシチュー味を食べたことがあるけどトラウマになりそうなくらい不味かったわ」
「あぁ僕も食べたことがあるよ。確かにあれは不味かった」
「私ならあれよりももっと美味しいガルガル君を作れる自信があるわ」
「お前はガリガリ君の社員かよ」
一花は少しだけ悩み、
「ヨーグルト味はどうかしら?」
と言った。
どうやらわりと真面目に考えたらしい。
だけど――
「その味あるよ」
「えっ本当に?」
「うん、食べたことがある」
「じゃあ抹茶味は?」
「それもある」
そう言うと一花はムッとなった。
「なんでキー君はそんなにガルガル君に詳しいの?もしかしてガルガル君を作った社長の息子?なら、イカスミパスタ味でも作って赤字になればいいわ。そして会社が倒産すればいいわ」
「いや別に違うけど」
てかもしそうだとしたら、こうしてタピコを食べていない。ガルガル君を食べる。そして一回パスタ関係で失敗しているのだからあの会社はもう二度パスタの味に挑戦しないだろう。そして、会社が倒産すればいいとか言うのは怒られるからやめてくれ。
「いや、僕がガルガル君の味に詳しいのは姉貴がガルガル君好きでよく色々な味のガルガル君を買ってくるんだよ」
「へーそうなの。それはいいお姉さんね」
「いや、それだけは絶対にないから。お前は僕の姉貴にあったことがないからそんなことが言えるんだ」
「いや会わなくってもわかるわ。キー君知らないの?ガルガル君好きに悪い人はいないのよ」
「なんの根拠だよ」
しばらくしてアイスを食べ終えるころには夕日は落ちかけていた。外に置いてあるゴミ箱にゴミを捨てると僕は「そろそろ帰るか」と言うと一花は「えぇそうね」と言った。
結局、一花と連絡先を交換することはできなかったが僕なりによくやった方だろう。姉貴に怒られるのは確定だが。
「じゃあ行こうぜ」
僕は一花に向かってそう言うと一花はまるで何かを見つけたように「あっ」と言った。
「どうしたんだ?」
「いや、ちょっとだけ木を伐採してくるわ」
「えっ?」
木を伐採?なんのことだ?と思っていると一花は再びコンビニに入っていった。どうやらトイレに行きたかったらしい。木を伐採てなんか勇ましいな。
と思ったところで、ちょっと待てよとなる。
この感じ前にもあったような……
「あれ?先輩じゃないですか」
「本当だ。キー君こんなところで何やっているの?」
僕は声をかけられた。振り返るとそこには海原とまつりちゃんがいたのだった。
「……」
あいつまた逃げやがったな。




