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ぼっちの僕がクラスメイトに告白されたわけ。  作者: 今無 いま
残り四日
45/73

一花が官能小説を電子書籍で読んでいるわけ

 

『スマホチラ見せ大作戦』とはその名の通り、スマホをわざとチラ見せさせて、ターゲットから連絡を交換してもらうという作戦だ。これなら僕から一花に必要なんてないし、もしも連絡先を交換を失敗してもあとで姉貴に言い訳ができる。

 そんなわけでお昼休み。

 僕はいつものように体育館裏で一花と待ち合わせをして、彼女が作ってくれたお弁当を食べながら、とりあえずこんな話題から入ってみた。


「一花てラノベとか読んでるのか?」

「よく読むわよ。図書室にあるラノベは全部制覇したつもりよ」

「それはすごいな」


 てか、うちの学校の図書室にラノベなんて置いてあったんだ。一度も行ったことがないから知らなかった。今度行ってみよ。


「キー君はどうなの?」

「いや昔は読んでたけど、最近は全然読んでないな。昔は友達との話題作りのためだけに読んでたから」

「えっ?キー君、友達いたの?嘘でしょ?」

「そんなに驚くなよ。僕でも友達ぐらい一人か二人はいる。……いや、もうそいつらとはもう連絡がつかないんだけどさ」

「本当にその人達と友達だったの?」

「やめろ。そんなこと聞いてくるな」


 疑心暗鬼になるだろ。


「で、一花はどんなラノベを読んでいるだよ」


 これ以上その話をしたくなかったし作戦に影響が出るので僕は強引に話を戻した。


「基本、ラブコメかしら。キー君は?」

「僕は色々読んでるよ」


 そう言ってスマホを取り出した。

 さぁここから作戦開始だ。


「あらキー君てスマホを持っていたのね」

「失礼な。僕は原始人かよ」


 と突っ込む僕。

 だけどこれは計画通り。

 こうして自然にスマホを見せつけることでその話題に入ることが僕の目的だった。さぁ後は一花の方から連絡先を交換しようと言ってくれるのを待つだけ。


「キー君はスマホで持っていないキャラでいて欲しかったわ」

「なんだよそれ。高校生がスマホを持ってなかったら友達なんてできるわけないだろ」

「アナタはスマホを持っていても友達いなかったけどね」


 的確すぎる鋭い突っ込みだった。これは傷つく。

 だけどそんなことを御構い無しに一花は聞いてくる。


「でもキー君てスマホで読んでるのね」

「まぁ書店で時々買ったりするけど、本は場所を取るからな。電子書籍の方が好きだよ」

「電子書籍なんてエロ目的でしか買わないわ」


 そういえば言ってたな官能小説を読んでいるて。


「それはあれか、親とかにバレないようにするためか?」

「まぁそんなところね。書店で買った官能小説をお兄様の目の前で読んでたら怒られたことがあるのよ。そして没収されたわ」

「正しい判断だな」


 てか家族の前で官能小説とか読むなんてすごい度胸だな。僕には到底真似できそうもなかった。いや真似したいとも思わないけど。


「だから今度こそお兄様にバレないように電子書籍で官能小説を読んでいるわけ」

「なるほど」

「キー君も一度、やってみたら?家族の前でバレないように官能小説を読む行為は予想以上に興奮するわよ」

「誰がするか!!お前はやっぱり変態だ!!」

「褒め言葉ありがとう」

「褒めてねぇーよ」


 そしてチャイムは鳴った。

 結局、連絡先交換はできなかった。

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