表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっちの僕がクラスメイトに告白されたわけ。  作者: 今無 いま
残り五日
40/73

二人が友達になれないわけ

 

 二人を仲良くさせるなんてそう容易いことではないと言えるだろう。一花が海原のことを嫌っている限り、海原が一花と友達になるなんてできるはずもなかった。

 だから二人が友達になってもらうためにもまず一花が海原のこと好きなってもらおうと僕は考えた。

 そんなこと果たして本当にできるのか?と思わず頭を抱えてしまいそうになる難題だが、幸いなことに二人とも水泳部。それを理由しない手はないだろう。

 そもそも一花はどうしてあそこまで海原のことを嫌うのだろうか?それはまだ何もわかっていないが、今のところ一花は海原に嫉妬しているだけではないだろうかと僕は予測している。

 嫉妬。それは他人が自分にはないものを持っていることに恨んでしまうこと、そして人間らしい感情の一つ。

 でもその他人だって持っていないものは確実にあるのだ。

 きっと一花はそのことに気づいていないだけであり、だから一花は海原に嫉妬して嫌ってしまう。

 ではどうしてそんなことになってしまったのか。

 海原は一花と仲良くなろうと駅で待ち伏せしたり積極的にアプローチをしていたが、しかし一花の方は海原ことを避けている。

 そんないたちごっこを一体いつから続けていると考えると、海原は確か入学した時から一花に嫌われていたと言っていたが、いくらクラスが違えど同じ水泳部なのにあまりにも不自然なことであった。

 つまりそれだと今まで誰も一花と海原の間を取り持つ奴は誰一人いなかったということになってしまうのだ。いやもしかしたらいたのかもしれないけど、しかし現在の冷戦状態を考えると二人の間を取り持つ人間はいないと考えていいだろう。

 もしかしたら、二人が友達になれないのはそれが原因なのかもしれない。

 誰か一人でもいいから二人が仲良くなるためにもそれをやってあげなければいけない人間が今は必要なのだ。そしてそれを今からやろうとしているのが、この僕だった。


「……」


 いや、友達のいないお前がそんなことできるのか?と言われてしまったら何も言えないけど。不安要素が多いけれど。でもここまで来てしまったらやるしかなかった。

僕は――今まで部活動なんてしたことない僕はなんとこの度、水泳部に仮入部してしまった。

 そんなわけで僕は水泳部に来ていたのだが、僕は肝心なことを一つだけ忘れていた。

 水泳部に仮入部するということは、僕も泳ぐということである。それが水泳部の部活動なのだから当然のことだ。

 だけど僕は今日、水着を持ってきてないのである。

 いや、体育で水泳の授業なんてないので持ってきないのは普通だったが、水着がなければ泳げなかった。これではただの女子の競泳水着姿を見にきた変態だった。

 何やってるんだ僕は。

 僕はプール場に置かれてあるベンチに座りながら、自分の計画のなさに呆れていると


「あれ?アナタはこの前私の競泳水着姿を見に来てたキモい先輩じゃないですか」


 と声をかけられた。

 それは後輩の雛村まつりだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ