海原がお昼を誘っても断るわけ
「そういえば、ここに来るのやけに遅かったけどどこか寄り道してたの?」
一花のお弁当に舌つづみを打っているといきなり一花がそう聞いてきた。
「まぁちょっとね。トイレに行ってた」
本当は違かった。
実はお昼を一緒に食べようと誘おうと海原のところに行っていたのだが、そんなこと海原を嫌っている一花に言えるわけがなかった。
そしてコミュ障の僕が女の子をお昼に誘うなんてかなりの勇気が必要だったのに残念なことに海原には普通に断られてしまった。
これは告白して断わられた時よりもキツい。
ただ一度断わられただけでやすやすと引き下がるほど僕は中学時代とおなじではない。僕だって少しぐらいは成長している。
僕は少しだけしつこく誘ってみたが周りにいた海原の友人に「誰こいつ?海原のことをストーカーでもしてるの?キモいんですけど」と言われてしまいなくなく引き下がった。
痴漢の次はストーカーですか。完全に今の僕は性犯罪者まっしぐらである。いつかすべて性犯罪をコンプリートしそうで怖い。
さて話を戻し、海原の様子を見る限り海原が僕の誘いを断ったわけはどうやら海原は僕達に気を使っているみたいだった。
昨日せっかくこの場所を教えてあげたのに海原が来なかったことを僕は不思議に思っていたのだが、さきほど海原にそのことを聞くと一応寸前まで来ていたらしい。しかし僕達が仲がいいところを見て邪魔してはいけないと思ったらしく自分の教室に戻ってしまったのだ。別に気を使わなくってもいいのに。だけど海原らしいといえば海原らしかった。
まぁでもそうなるとどうするべきか。
僕が一花と一緒にいる限り海原は気を使ってしまい僕達に近づいてこないだろう。それはつまり一花と友達になろうとしている海原のことを僕は邪魔していた。
一花に強制的にやらされとしても電車の中で海原の胸を揉んでしまったお詫びをどこかでしなければいけなし、ここはなんとしてでも海原に協力したい。何か方法はないだろうか?
なんてことを思っているとジーと一花に見つめられていることに僕は気づく。
「なんだよ」
「いえ、私はてっきり海原さんのところに行っていたと思ってたからついね」
お前はエスパーかよ。
「まぁ断れたみたいだから良かったわ。ストーカー呼ばわりしたあの女には少しムカついたけど」
「えっなにお前、見てた?それとも盗聴器でも仕掛けてる?」
「そんなもの仕掛けて……ないわよ……」
「なんで最後の部分だけ小声になるんだよ。こら、コッチを向きやがれ」
この反応まじか。まじなのか!?いや、電車の中であんなことをするような奴だ。盗聴器を仕掛けても不思議ではない。
「一体他にどんなことを知ってやがる?まさか僕が競泳水着を着ている女子校生のAVを見てたこともお前は知っているというのか!?」
「えっ、いや、それはなんのことかしら」
しまった!!自分で墓穴を掘ってしまった!!
そんな僕に一花は妙にニヤニヤしながら言う。
「へー、キー君てば私の競泳水着姿を見てクールぶってたけど本当は欲情してたんだ。私に言ってくれれば良かったのに」
「欲情してないし。そんなこと人に言えるか!!」
それはただのセクハラである。
「じゃあどうしてそんなもん見てたの?」
「た、たまたまです」
「ふーんそうなの?なんならそれを確かめるために今日、私の競泳水着姿を見に来る?」
「行くわけ――」
ないだろ、と言いかけたところであることを思いつく。
もしかしたら、海原と一花を仲良くさせることができるかもしれない。
「いや、やっぱり行くよ」
僕は一花に向かってそう言った。




