海原の胸を揉んでいるわけ
しばらくして電車が来た。
昨日みたいにドアが開いたら一花がいるのではないだろうかと思ったが、そんな偶然が二度も起こるはずもなく僕達は電車に乗り込んだ。
電車内はやはり満員でギュウギュウで、今僕は海原に壁ドンしている状態になっていた。まさか僕が女の子にそれもあの海原に壁ドンする日がこようとは夢にも思っていなかった。
でも海原は僕みたいな冴えない奴に壁ドンされたくはないことは明白なことだったので僕は謝る。
「す、すまん海原。しばらく我慢してくれ」
「私は大丈夫だよ。キー君こそ大丈夫?」
「僕は大丈夫だ」
僕は意味もなく強がる。
出来るだけ海原と接触しないように壁ドンしているので、壁腕立て伏せをしてると同じでさらに電車の揺れもあるので手はかなり限界に来ていた。さっきからプルプルと手が震えてる。
それなのに強がったのはただ単にカッコつけたかっただけなのだろう。この恥ずかしい奴め。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫だって」
そう言った瞬間、電車が大きく揺れた。それによって体制が崩れ僕は海原に思わず抱きついてしまった。
あっいい匂い……てそんなことを言ってる場合じゃねぇ!!
「す、すまん!!いきなり抱きついて!!でも、わざとじゃないから、一度でもいいから海原に抱きついてみたかったとかわけとかそういうわけじゃないから。電車が揺れてたまたまた抱きつたけだから」
僕は謎の言い訳をしながら慌てて離れる。海原は僕の目を合わずに下を向き、恥ずかしいそうにしていた。
「わ、わかってるから。偶然だってことはわかってるから……私もキー君に抱きつかれてそこまで嫌じゃなかったし……」
僕が傷つかないようにあえてそんなことを言ってくれるなんて海原はやっぱり優しい奴だな。
なんて思っていると突然、背後から右手首つかまれた。
「えっ?」
ぼくは驚く。
握ってきた手はかなり強い。普通に痛かった。
まさか僕、海原に抱きついたことで痴漢と間違われた?嘘だろ?僕は無実だ!!
僕の手は徐々に引っ張られていく。
しかしそれは上ではなくなぜか海原の胸の方にだった。そして……ムニュ、僕の右手に柔らかい感触が伝わる。僕は気づけば海原の右胸を揉んでいた。
「えっ!?キ、キー君!?」
「ち、違う。僕じゃない!!」
いきなり胸を揉まれて驚く海原に首を横に振る僕。
一体なんなんだ!!背後から僕の手を掴んでいるこの手は!!ふざけるんじゃねぇ!!海原に嫌われたらどうするつもりなんだよ!!
「う、うんわかってる。後ろの人に無理やりやらされてるのは」
どうやら海原にも背後から僕の右手首を掴んでくるこのてが見えているらしく僕は一安心する。
「でも、それでも指は動かしちゃダメだからね」
「指を動かしちゃダメてこういうことか?」
「あん♡」
胸に埋もれてる指を動かすと海原は突然甘い声を出した。
「キー君!!ダメて言ったばかりでしょ!!」
「す、すまん」
海原は怒った。ここで制服越しでもいい感触でしたと言ったら海原はきっとさらに怒るはずなので黙っとく。とりあえず今は早く早く離れてあげないと、そのためには背後から掴んでくるこいつをなんとかしなければいけなかった。
「う、海原、お前から俺の後ろの奴見えるか?」
「キー君で、よく……見えない……はぁう♡」
色っぽくそういう海原。
僕も振り返れるもんなら振り返ってこんな馬鹿げたことをする奴の顔を見てみたかったが、こんな満員電車で簡単に振り返れそうもなく、そして僕の首が180度回るはずもなく、唯一わかるのは僕らと同じ陽森高校の制服を来ていることだっけだった。くそ、うまい具合に僕と海原の視界から外れていやがる。
一体僕にこんなことさせて何が目的なんだ!!
「キー君……さっきから手が震えてる……あん♡」
「耐えてくれ!!」
「む、むり……ふん♡」
僕も理性を保つのに必死なんだ。べ、別のことを考えなければ……そうだ素数を数えて落ち着こう。て、素数てそういえばなんだっけ?
「うっん♡ま、また指を動かした!」
「ち違う!!わ、わざとじゃないから!!指が勝手に!!」
「うぅ……」
海原は涙目になっていた。ヤバイ……これじゃ本当に痴漢しているようじゃないか。
「くそ、お前誰だよ!!」
その瞬間、電車はまた大きく揺れた。その拍子で右手は海原の胸に沈み「ひゃう♡」と可愛い声を上げた。海原もかなり限界に近づいているようだ。
そして僕も右手に伝わる感触と海原の甘い声でかなり限界だった。今すぐにでも海原の胸を揉みしだきたい気分だった。
「も、もう離して……」
「手をつかまれて無理なんだって」
「それなら……もうつかまれてないよ……あん♡」
「えっ?」
そう言われて自分の手首を見ると背後から掴んできた手はもう消えていた。いつのまに!!どうやら僕は海原の胸の感触に夢中になってそのことに気づかなかったみたいだった。
僕は右手を海原の右胸からゆっくり離すと海原は「ハァハァ」荒く呼吸をし始めた。その姿はとても色気があった。
駅に着き、僕達は駅を降りると少し落ち着いた海原は僕に向かって言う。
「キー君のエッチ」
僕の右手にはまだ柔らかい感触が残っていた。




