世界がわからないことだらけなわけ
「どうするつもりなの?」
「えっと……まだ決めてない」
海原にそのことを言うのを思わず躊躇ってしまう僕だったが、やはり言ってしまうことにした。
昨日までなら無関係だからという理由で話さなかっただろうが、一花が僕に告白してきた発端かもしれない海原はもう無関係ではなかった。それにそのことを海原に話すことによって海原の反応を確かめるのもいいかもしれないと思ったのだった。
もしも僕のことが好きだとしたら、まだ決めてないことに安堵するはずだ。
さて海原の反応は――
「キー君らしいね。でもね早く答え出してあげないとダメだよ?一花ちゃんはキー君の返事を待ってるんだから」
普通に普通の反応だった。
うーん、姉貴の推理はハズレだったのか?まぁ姉貴は別に名探偵でもなんでもない、ただフリーターだ。推理が間違っていてもそれは当然のことである。
「キー君は一花ちゃんのことどう思ってるの?」
「どう思ってるて?」
「もう……キー君は一花ちゃんのことが好きなのか聞いてるんだよ」
海原は聞き返した僕に呆れながらそういう。
「それは……どうなんだろうな」
僕は少しだけ考えてみたがわからなかった。
この二日間、一花と一緒にいて楽しかったがそれを恋愛感情として捉えいいのか疑問だった。やはりそれは友達と同じではないだろうか?好きとは程遠いような気がする。
そんなことを考えていると気がつけば僕は海原に質問をしていた。
「なぁ海原は人を好きになる感覚てわかるか?」
……て、僕は海原にいきなりなんてことを聞いてるんだ?もしかしたら僕のことが好きかもしれない海原にするような質問ではなかった。
「ごめん、今の質問忘れてくれ」
「うーん……気づいたらその人を目で追ってたり話しかけたくっても話しかけられなかったりとかそういうことでいいのかな?」
「いや、だから忘れてくれって」
まさか本当に答えてくれるとは思わなかった。
僕は少しだけ驚いていると海原は不思議そうに言う。
「でもキー君、本当は知りたいんでしょ?だって前に言ってたじゃん、わからないことは怖いことだって」
「それは中二病的なセリフだと思って忘れてくれよ」
「中二病なんて思わないし、それに忘れられないよ。だってその気持ち……私分かるもん……」
海原は悲しげにそう言う。
「ねぇキー君、どうしてこの世界はわからないことだらけなんだろうね。なんて、私も中二病的なセリフを言ってみたりして」
彼女はそう言って誤魔化すように作り笑顔をする。それは昔見た作り笑顔とそっくりだった。
だから僕はまるで励ますように言う。
「別に中二病だなんて僕も思わないさ。世界がわからないことだらけなのはきっと世界がそれだけ広くって大きいからさ」
「なにそれ変なの。まさに中二病だね」
「あぁそうだな。高二だけど中二病だな」
そして僕達はお互いに笑った。
仲のいい友達のように。
「ねぇキー君」
「なんだよ」
「キー君が一花ちゃんと付き合うのを躊躇うのは一花ちゃんがどうしてキー君のことを好きになったのかわからないからだと思う」
「まぁそうだな」
「でもねそんなのは簡単な話なんだよ。一花ちゃんがキー君のことを好きになったのはね――」
もしかしたら僕のことが好きかもしれない海原は言う。
「どんなことにも真面目に考えてくれるそんなキー君にきっと惚れたんだと私は思うよ」




