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ぼっちの僕がクラスメイトに告白されたわけ。  作者: 今無 いま
残り五日
32/73

姉貴に探偵になれと言ったわけ

 知らない人のために『安楽椅子探偵』とは何なのか説明すると、ミステリー分野の一つで部屋から出ることなくあるいは事件現場に行くことはなく協力者が持ってくる情報だけで事件を解決してしまう探偵のことだ。

 元刑事である姉貴にそんな探偵になってほしいと言うのはなかなか味のある展開だが、どうして僕は姉貴にそんな条件を提示したのかと言うとそれは姉貴の行動に制限をかけるためだった。自由奔放な姉貴に好き勝手に行動されるのは下手をすれば今後の僕も高校生活に支障がでるかもしれない。問題を解決するために別の問題を起こしては元も子もないだろう。

 だからこそ僕が安楽椅子探偵の協力者になることで姉貴に情報を教え、刑事の特権である捜査をさせずに探偵の特権である推理だけをしてもらおうと思った。もしそれで一花がどうして僕に告白してきたのかという謎が解けなかったとしてもまあそれはそれでいいことだし、謎が解けても何も問題はない。とどのつまり僕は姉貴がこの謎を解いても解かなくってもどっちでもいいと言うことだった。

 問題は姉貴がこの条件を了承してくれるかどうかだったが


「うん、いいよ。私そういうの好き」


 馬鹿な姉貴で助かった。

 いや、姉貴はきっと僕の目的をがわかっていてあえてこの提案に乗っていると思うので一概に馬鹿と侮蔑するのはどうかと思うが、しかし安楽椅子探偵になれと言われて若干喜んでるところ見るとそう言わずにいられなかった。


「さあ早くこの安楽椅子探偵に説明したまえ」


 姉貴はかなりノリノリでそう言う。そういえば姉貴、ミステリー小説好きだっけ?確か刑事になったのもミステリー小説に影響されてだったような気がする。だとすればはしゃぐのも仕方がないような気がした。


「わかったよ説明する」


 僕は一通り説明し始める。

 四日前、若葉一花に呼び出されそして好きだと告白され友達として付き合うことになったこと。その次の日、一花から一週間以内に私と付き合うのか決めてほしいと言われたこと。あとは一花にお弁当を作ってもらう約束をしたことや一花が男の人と援助交際しているというデマが学校で流れていることや、一花が海原を嫌っていること、さらに電車の中で一花に耳を舐められたことまでついついうっかりしゃべってしまった。姉貴はそれを聞いて「すごい彼女だね」と普通に引いていた。うん、僕もそう思う。

 さて、そんなわけですべて話し終える頃にはもう学校に行かなくっては行けない時間になっていたが、それでも姉貴の意見を聞かずには学校には行けるわけがなかった。

 姉貴ははっきりと言う。


「若葉ちゃんがアンタのことを好きだから告白してきたという可能性はないよ。明らかにアンタを利用するつもりでいるつもりだ」


 それは僕もわかっていることだった。

 告白された時も、電車の中で耳を舐められた時でさえ彼女からは『好き』という感情なんて一切伝わずどこか嘘っぽく、昨日と一昨日の二日間は本当に友達同士でいるような感じだった。それが楽しくなかったかと聞かれるとまあ普通に楽しかったが。


「この場合、僕のことが本当に好きなのかなんてどうでもいいことだろ。問題なのは一花の目的が一体なんなのかだろ?」

「まあそうだね。若葉ちゃんが本当にアンタのこと好きなのかどうかは関係なくなっているーーでも海原ちゃんどうだろうね」

「えっ?」


 僕はその名前がいきなり出てきて驚く。

 どうしてここで海原の名前が?と疑問に思っていると姉貴はそんな僕に対して驚いたような感じで聞いてくる。


「可愛い弟よ。まさか気づいてないのかい?」

「うん?気づいてないてなんのことだよ」


 僕はそう聞くと絶対にありえないことを姉貴は言うのだった。


「海原ちゃんはアンタのことが絶対に好きだよ」



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