クラスメイトに囲まれたわけ
日本史の授業が終わり僕は前の休み時間のように一花に話しかけるこはなくトイレに行こうとするが、誰かに見られているかのように感じた。
まあでも僕はそんなことは気にせずトイレに向かう。さすがに尿意には逆らえない。
僕は教室を出てトイレに移動する。しかしその間でも見られているような感覚は消えることはなかった。つまり跡をつけられているということである。少し不愉快なので跡をつけている奴を撒こうと思ったが、僕の膀胱がかなり限界だったので出来なかった。
僕は男子トイレにある個室に急いで入る。
別にしたいのは小便だけなのでわざわざ大便器のある個室に本来なら入らなくってもよかったのだが、跡をつけられている今の僕にとってはこれが最善の策だった。僕は膀胱から一滴も出ないほど出し切った後、ズボン右ポケットからスマホを取り出す。そして念のため録音アプリを起動させ、再び右ポケットにスマホを入れた。
よし、もしもこれで何がっても録音をしているので大丈夫だろう。
先ほどから扉の向こう側から何人かの人の気配がする。どうやら待ち伏せされているらしい。
一人だったらなんとかできそうなだったが、さすがに複数に相手をするのは僕一人では無理だった。だからこの個室にこもってやり過ごそうと思ったのだが
「おい、いい加減出てこい」
どうやらそういうわけにはいかなそうだ。
僕はズボンを履き、自分の尿が溜まっているトイレの水を流す。そしてドアをゆっくり開けるとそこにはあのチャラ男とその愉快な仲間達、計五人がそこにいた。
「ごめんトイレ独占しちゃって、なんかお腹壊したみたいでさ。イテテテ……
そう言ってお腹が痛い振りをする。かなりの大根役者だった。
それで見逃してもらおうかと考えていたがそれはやはり浅はかな考えで、彼らは僕を逃がさないように僕を取り囲むようにして佇む。
「えーと、使わないの?」
僕は恐る恐るそう聞くとチャラ男が言うのだった。
「いや俺たちは別にウンコしたかったからここにきたわけじゃねえ。ただお前に確認したいことがあっただけだ」
「確認?確認ね。たったそれだけのために集団で取り囲むのはどうかと思うよ。これからまるで君らにリンチでもされるみたいにじゃないか」
「まあ、お前の返答次第ではそうなるかもしれないな」
そう言って不敵に笑う。
この目はわりとマジな奴だった。
「それはかなり物騒な話だね。もっと平和的にいかないか?」
「ああ別にいいぜ。でもそれもやっぱりお前の返答次第になる。だから今から俺がする質問にお前は正直に答えろ」
そして聞いてくる。
「なあお前、若葉一花とどこまでヤッたんだ?」