一花が一人でいるわけ
将来、何の役に立つのかわからない日本史の授業を聞きながら考える。
どうして一花はいつも一人でいるのだろうか?
それはいつも一人でいる友達のいないぼっちの僕が言えたことではなかったが、それを考えることによって一花がどうして僕に告白してきたのかがわかるような気がしたからだ。まあそれは本当に気がしただけであって何の確証もないのだが、しかしここで考えることをやめてはいけないだろう。
僕は後六日の間に答えを出さなければいけないのだ。
だから僕は考える。
どうして一花はいつも一人でいるのか?
たった一日僕との距離を縮めた一花のコミニケーション能力ならば例え男の人と援助交際しているというデマがあっても一人ぐらい友達は出来そうだが、それをあえてしないのはただ単に面倒くさいからか?
そういえば昨日、デマを止めない理由を聞いた時そんなことを言っていた。それは利口的で危ういことだがそう言った彼女ならば友達を作らない理由で面倒くさいからと言っても不思議ではない。
だがそれだと一花と友達なろうとしている海原とどうして友達にならないのだろうか。毎日、駅で待ち伏せされたらさすがに面倒くさくなり友達になってもおかしくない思うのだが、そう考えると彼女はそこまで面倒くさがりの性格ではないようだった。いやもしかたら面倒くさいがりの性格という認識事態が間違いかもしれない。第一、彼女が面倒くさがりなら好きでもない僕にお弁当を作ろうとはしないだろう。
彼女の性格は面倒くさいがりよりもむしろ目的のためならどんな手段でもいとわないそんなジョジョ第七部の主人公のように感じられる。
だとするといつも一人でいるのは一花にとって何かしらのメリットがあるからか?
だからデマも止めないし、海原と友達にならないのかもしれない。そして僕に告白してきたのも僕を利用するとためかもしれなかった。
とそこまで考え僕はあまりにも飛躍しすぎた自分の考察にひとまず冷静になることにした。
まだ情報が少ない状態でこれ以上考えるのは不可能のように感じた。だから僕は昼休みに一花から情報を獲るためにも日本史のノートの隅に『一花の中学時代のこと聞く』と忘れないように書き込んだ。
中学時代の一花を知ることによってもしかしたら何かわかるかもしれない。
なんて考えていると
「そこ、ボーとするな。エロい妄想でもしてるのか?」
先生はチョークで僕のことを指しながらそう言った。
僕は先生の冗談に苦笑いする。
周りにクスクスと笑われたてしまったが、一花はこちらを見向きもしなかった。