僕が休み時間に彼女に話しかけたわけ
「何読んでるんだ?」
一時限目が終わり僕は気がつくと、いつもみたいに自分の席で本読んで一花に話しかけていた。それは自分でも驚いたことだし、一花も僕の予想外の駆動に若干驚いていたがすぐさま僕の問いに答える。
「官能小説よ」
「お前、学校でそんなの読んでるのかよ!?」
「嘘に決まってるじゃない」
なんだ嘘なのかよ。
「さすがに学校では読まないわ」
「てことは家では読んでるのかよ!!」
「当たり前じゃない。今度、オススメの官能小説貸してあげましょうか?」
「別にいい」
「あら、残念。キー君にオススメの姉ショタ小説あったのに」
「それは実際に姉がいる僕に対しての嫌がらせか?」
姉ショタの官能小説を僕が読んでいたら、さすがの僕の姉貴もドン引きする。いや、姉貴のことだから面白がるか?まあどちらにしたって、姉貴がいるのに姉ショタの官能小説なんて読めるはずもなかった。
「てか、そんなもんまで読んでいるのかよお前。ブラコンのお前のことだから、てっきり兄妹モノの官能小説ばかりだと思っていた」
「まあ確かにそれも読んでるけど、お兄様を弟のように扱ってみたいて思うことは誰にだって一度くらいはあるでしょ?」
「知らねぇーよ」
だからお前は自分の性癖を晒しすぎだ。
なんてことを思っていると一花はさっきから気になっていたかのよう聞いてくる。
「キー君は私に何かようかしら?君が休み時間話しかけてくるなんて何かようがあるのでしょう?」
僕は即答する。
「いや別に特にないよ」
「本当に?」
「うん本当に」
一花がそう聞き返す気持ちはわかる。
休み時間になると僕はいつもクラスメイトと関わろうとせずに寝たふりをするのだが、こうして僕自身から誰かに話しかけるなんてこれが初めてのことだった。きっと一花と関わったことで僕の中でも何かが変わり始めているのだろう。
僕は言う。
「僕はただお前とくだらない話がしたかっただけさ」
「それは嬉しい言葉ね」
すると一花はクスッと笑った。
「でも教室ではあまり私に話しかけない方がいいわよ?」
「えっ?あっ……」
僕は一花にそう指摘され気づく。
教室はざわついていて視線はこちら集まっていた。なるほど、いつも一人でいる奴らまるで友達のように話し始めたらそれは驚くだろう。それに彼女は現在、男の人と援助交際をしているというデマがある。こうして僕が話しかけるのは彼女にとって迷惑かもしれなかった。
僕は自分の軽率な行動に後悔していると一花は言う。
「お昼にまたいっぱい喋りましょ」
そして彼女はまた笑った。
可愛いと思わず思ってしまった。
そしてチャイムが鳴り僕は自分の席に戻るのだった。




