昼飯を買わなくってもいいわけ
「……」
「……」
「……」
僕の発言によって、本日三回目の気まずい空気になってしまった。海原は頬を若干赤らめながら下向いて歩き、一花はなぜか勝ち誇った顔していた。こんな空気にさせてお前は一体何が目的なんだよ。
「……えっと、ハンカチはちゃんと洗って返すから」
僕はとりあえずそう言うと海原はコクリと頷いた。そりゃ他人の唾液を拭いたハンカチなんて潔癖症じゃなくっても嫌に決まってる。
「あら、本当にいいのかしら?海原さん。もしかしたら、キー君はそんなこと言って海原さんのハンカチを使っていかがわしいことをするかもしれないわよ。イカだけに、いかがわしいことを」
「僕はそんな変態じゃねぇーよ」
すかさず突っ込む。こいつ、海原の前でなんてことを言ってくれるんだ。
「キ、キー君はそんなことしないよ!……多分」
「最後に、多分てつけないでくれ海原。しないから、そんなことしないから」
僕は人間を信用していないどうしようもない奴だけど、それだけは信じて欲しいと思った。
そんな無駄話をしながら歩いていると僕がいつも登校するときに寄っているコンビニが見えてきた。僕はいつもここで昼飯のおにぎりとかサンドイッチを買う。そして今日もその予定だった。どんな状況にいてもルーチンワークは崩さない。それが僕の生き方だ。
二人には待たせてしまっても申し訳ないし、さきに学校に行っててもらうことにしよう。海原と一花を二人っきりにさせるのはかなり危険な感じがするが、しかし一花と仲良くなりたい海原にとっては僕なんかきっと邪魔者はずだ。
そんなわけで邪魔者はここで消えるとしよう。
僕はクールに去るぜ。
「ちょっと昼飯買いにコンビニに寄ってくる。さきに行っててくれ」
「その必要はないわよ」
全然クールにされなかった。一花にそう言われて首を傾げる。
「私、キー君の分のお弁当をちゃんと作ってきたのよ?」
「えっマジで?」
驚く僕。それを見て一花は呆れてため息をつく。
「キー君が言ったじゃないの。私が作ったお弁当を食べたいて……忘れるなんて酷いわ」
「いや、覚えてるけど……てっきり冗談かと思ってたぞ」
「私がそんな冗談を言うと思う?」
いや、言うだろお前。そして「あら、キー君は本当に私が作ったお弁当を食べられると思ったの?可愛いこと」て言ってくるだろ。
「へー、一花ちゃんて料理できるんだ!!すごい!!私も、一花が作ったお弁当、見てみたいなー」
海原が僕たちの会話に上手く入ってくる。そしてさりげなくお昼を一緒に食べようとしている。さすがのコミニケーション能力だった。僕なんかと違う。
しかし問題は一花に通用するかどうかだった。
「……」
まさかの無言。海原を無視していた。
海原は完全に困ったようで苦笑いして、僕は彼女を手助けしようとしたその時、キンコーンカーコンとチャイムが微かに聞こえた。
これはどう考えても陽森高校のチャイムだった。
「遅刻じゃねぇーか!!」
そして僕らは慌てて走り出す。




