僕が修羅場に立たされているわけ。
「……そうなんだ。二人ともずいぶんと仲がいいだね」
海原はなぜか不安そうに聞いてくる。知りたくないことがあるかのように。
一花はそれに一切気づいていない様子で答える。
「えぇそれはもうラブラブよ」
「ラブラブ……それって二人とも付き合ってるの?」
「さぁ?それはどうかしらね。あなたから見てどう思う?あなたに私たちはどう写ってる?」
「えっと……」
戸惑う海原。
いや、質問を質問で返されたら誰だって戸惑うだろう。ここがジョジョの世界だったらキレられているし爆破されてることだろう。
本当、さっきからどうしたんだ一花の奴。
海原にはやけに意地悪すぎないか?いや、僕も散々一花に友達がいないことや童貞をいじられたが、でもそれは彼女なりの一種のコミニケーションだと理解している。
ただ海原の場合は本気でを潰しにかかっているようなドス黒い悪意しかない意地悪。
もうここまでくると怖さしかなかった。
「ただの友達だよ」
僕は見てられず本当のことを言う。
このままだといくらなんでも僕たちとは無関係の海原が可哀想だと思ったからだ。
「あら、わざと隠してたのに…キー君、言っちゃうの?」
「別に隠すようなことでもないだろ」
「まぁそれもそうね」
僕の言葉に納得してくれたみたいで僕もホッとする。もしかしたら一花が海原を潰そうとしているのは思い過ごしなのかもしれなかった。
だとしたら僕は安心できる。
一花は海原の目を見て言う。
「そう私たちはただの友達よ――今はまだね」
訂正。思い過ごしなんかじゃなかった。こいつはやっぱり海原のことを本気で潰しにかかっている。
「今はまだ?」
海原は一花の意味深な言葉に思わずそう聞く。
「実は昨日、キー君に告白して友達から始めようてことになったんだけどね。でも私はキー君とどうしても付き合いたいから条件をつけたの」
「条件て?」
「今日から一週間。その間に私と付き合うのか答えを出して欲しいて言ったのよ」
「おいそこまで言わなくっても別にいいだろ」
僕は二人の会話に慌てて止めに入る。
「あら?キー君が言ったのよ。隠す必要なんてないだろって」
たしかに言ったけど、無関係の人間にそこまで細かく説明するなんて思わないだろ。
「それで海原さんはわかってくれたかしら」
「う、うん。二人がまだ付き合ってないのはわかったよ。それで今のところなんて答えるつもりなの?えっと……キー君は」
「えっ?」
「そうね今日私と一緒にいてどうだったのか知りたいし、まだ初日だけど中間発表でもしましょうか」
「ちょ、ちょっと…」
思わぬ展開に混乱する僕。
いや、なんなんだこの状況…わけがわからない。
「どうするの?」
「どうなの?」
女の子二人からそんな風に言い寄られるなんて、まるでラブコメによくある修羅場だった。