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道場破り

 ギフトの鑑定を受け、無能の烙印を押されてから一年。

 一年間みっちりとニーナに鍛えられたおかげで、僕はずいぶん強くなったという自信がついた。



 ニーナとの検証でわかったことがある。


 僕にはやはりギフトがないゆえにパッシブスキルが発動していないこと。

 このことに初めは少しショックを受けた。

 しかし、よく考えてみてほしい。

 僕は5歳の頃、ニーナと同時期に初めて剣を握った。

 もちろんニーナはエクストラギフトを授かったのだから、その瞬間にすでに世界で一二を争うほどの実力を持っていたのだろう。

 だけど僕は、当時は剣に関して、戦いに関しての全くのド素人だったのだ。

 そんな僕が“武神”直々のコーチの元ではあるが、去年までの5年間で剣術中級クラスの実力を得ることができた。

 もちろんニーナの教え方が素晴らしかったのは間違いない。ニーナがいなければここまでの実力はつけられなかっただろう。


 そこで疑問が一つ。

 無能の僕が5年間で剣術中級クラスの実力を得ることができたなら。

 例えば剣術初級のギフト持ちは、ニーナに5年以上鍛えられたなら、僕以上の実力を持ってもおかしくはないだろう。

 実は最初の頃は、僕の他にもギフト持ちの男の子が数人、ニーナ訓練をつけてもらっていたのだ。

 しかし、全員が途中で挫折した。

 もちろんニーナの訓練がスパルタすぎたのもある。

 しかし。


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 ニーナが言うには、

「うーん、多分だけどね、神様のギフトをもらったら、能力の上昇幅が固定されちゃうんじゃないかな。基本的にはパッシブスキルの補正がかかって、実力が急速に上がりやすい。けど、ある水準まで近づいたら、急激に上がりにくくなる。わたしが教えてた子を見る限り、そう感じたよ」

 らしい。


 その点僕は、能力の上がり方がギフト持ちと比べて極めて遅い。しかし未だに自分の限界を感じたことはないのだ。


 この一年間、死ぬ気で努力した。

 ニーナからスキルをたくさん教わった。

 ニーナの計らいで、道場破り達と道場の外でこっそり試合をさせてもらったので、実戦経験も積んだ。


 結局一度も勝てなかったが、ニーナともたくさん試合した。



 それも全て、今日この日のため。



 6年間毎日欠かさず通った道場に、今日はいつもと違う心持ちで、行く。



 道場の門の前、何度も僕を罵倒してきた男の子が、今日も僕に文句を言おうと声を張り上げる直前ーーーー


「たのもーーう!!!!失礼を承知で、この道場の一番強い者の首をもらいにきたッッッッ!!!!」


 ーーーー腹の底から叫んで木刀を構える。


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