道中
「ふぅ……」
なんとか危なげなくキングオークを倒すことができた。
今までの修行の甲斐があったと言うことだ。
「ふぅ、じゃねーよ!!」
「そうよ!なんなのさあんた!」
「うむ」
時間稼ぎを頼んだ3人組に壮大に突っ込まれる。
ーーうーん、なんと言ったものか。
やっぱりそのまま打ち明けるべきだよなあ。
と言うか。
時間稼ぎをお願いしただけのつもりだったのに。
なんだかんだであと2体のオークを残して他は全滅させているあたり、あの人たちもやっぱり強いんだなあ。
「あとで説明しますから!!とりあえず残ったオークを倒しちゃいましょう!!」
ーーーー
オークの群れを殲滅し、討伐証明の部位を回収したあと、御者のみが残る馬車へと戻ったのだが。
3人の質問攻めが止まらなくて今までの修行を洗いざらい吐かさせている。
「はあ??ギフトは無いけど努力してアクティブスキルが使えるようになっただあ?」
「幼馴染がエクストラギフト持ちで鍛えてもらっていた!?!?」
「う、うむ?」
「……はい、そうなんです」
やはり、当然のように驚かれた。
自分でも荒唐無稽な話だとは思う。
「でも、噂では聞いたことがあるわねえ。確かここからーー南西だったかしら。小さな村にエクストラギフトを授かった子供がいるとか」
「あー!俺もそれは聞いたことあるなあ!村からは全く出ないけど、たくさんの道場破りが挑みに行ってその全員を返り討ちにする剣神様がいるとか」
「うむ」
「……はい。ニーナ、あ、僕の幼馴染のエクストラギフト“剣神”持ちの女の子がその噂の子供です。その子は僕と同じ11歳です」
「はーーー。そうかいあんたはその剣神様を倒すために修行を積んで、はるばるアレスに行こうとしてるのねえ」
「倒す、と言うか、純粋に試合に勝ちたいんですよ。ニーナの修行のおかげで剣術は極められたとは思うんですけど、それでも全く倒せるビジョンが見えなくて。
アレスならニーナを打ち負かすための他のアプローチが見つかるかなって思ったんです」
「ギフト無しの子どもが剣術を極めたって自称することに違和感しか覚えないが、さっきの動きを見る限りたしかに極めているんだろうな」
「あんたも男の子なのねえ」
「うむ」
「あ、ありがとうございます、でいいのかな?」
そのあとは4人でたわいもない話をして、数日間を過ごした。
ーーそして。
戦いの国アレスの、首都アレスに僕たち4人はたどり着いた。