無能
ほぼ処女作です!!面白そうな設定を思いついたので頑張って書いて行きます!!
10歳の誕生日、ギフトの発現があまりに遅いため、両親とともに鑑定士の元を訪れたのだが、
「やっぱり僕、ギフトが無いんだ」
鑑定士から受け取った診断書を見て、現実を噛みしめる。
「エドウィン、がっかりしなくてもいいよ!お父さんが引退せず頑張って働くから、エドウィンは何も気にせずやりたいことをしなさい」
「そうよ、お母さんもエドウィンのしたいことを全力で応援するわ。ギフトがなくたってあなたは私の自慢の息子よ!」
両親の慰めが耳に入りそのまま抜けていく。
ギフト。
この世界ではほぼ全員が主神様から授かるもの。
幼少期にある日突然、当たり前のように使えるようになるそうだ。
僕は授かることができなかったからよくわからないが、急に体が作り変えられたように感じ、まるで呼吸をするかのように自然と使えるようになる、らしい。
「エドウィン、お前は僕のたった一人の大事な息子なんだ。死んでやり直そうなんて思うなよ!」
少し黙っていたら、父さんが必死に訴えてくる。
「いや、そんなことは全く考えていないよ」
この世界の子供は5歳くらいにギフトを授かる。
個人差はあるようだが、遅くとも10歳になるまでには必ず授かるそうだ。
スキルを持っていない人間もごく稀に存在するが、その場合は無能と言われ周りから蔑まれる。
僕も今日ここで、無能であることが発覚した。
ーーーーーー
自宅に帰り、一度気分をスッキリさせようと、顔をあらう。
鏡に映るのは母さんによく似た、黒髪黒目でまだあどけない僕の顔だ。
今でこそ童顔だが、そのうちキリリとしたダンディーな顔つきになるに違いない。
きっと。
切実に。
なると願っている。
身長も母親に似て、同年代の中ではかなり小柄。だが大人になる頃には立派な戦士のような、大柄な男になるのだ。
「他の鑑定士にも診てもらいましょう!」
「そうだ!それがいい!」
まだ騒いでるよ、この人たち。
……僕の両親は、控えめに言っても超親バカだ。
何をするにも一人息子の僕を優先してくれる。
「……うーん、心配してくれるのは嬉しいけど、たぶん無駄だよ。やっぱり僕はギフト無しだ。自分の体だからなんとなくわかるんだ」
「……そうか、エドウィンがそういうならそうなんだろう」
「辛いなら我慢しなくていいのよ?お母さんの前で泣いたって恥ずかしくはないわ」
僕が悲しんでいると思って両親はすごく気を使ってくれている。
――でも、
最初は面食らったが、そんなに気にしているわけでもないのだ。
たしかに世間ではギフト無しはギフトを持っている人よりも弱いとされている。
ギフト無しがギフト持ちに戦いで勝利した記録はない。
それでも思うんだ。
「ギフトってそんなに大事なものなのかな」