最強
次回最終回
はっ?今、何が起きた?何で腕が?
「は、はは、ははははは!凄い!凄いぞ!やっぱり俺が最強なんだ!見ろ!俺は何でもできる!何でも願う通りになるんだ!これこそ最強の魔法!そう思うだろ⁉︎」
うっ、まただ。何の予兆もなく左腕が消えた。恐ろしいことに細かくバラバラにされたとか、何処かへ吹き飛ばしたとかでもない。文字通りこの世界から消えてしまったのだ。
「ふふっ、自分でも驚いてるよ。まさか俺にこんな力があったなんてさ。どう?今なら地面に這いつくばって降参すれば見逃してやるよ」
「降参?いやだね、俺は最強になるんだ。この程度で諦めていられないさ」
「へ、へえ。強がってるのかな?まあいいや、それなら殺してやるよ。それで俺が正真正銘の最強になるんだ!」
その瞬間、多分クオンは俺の体全てを消滅させようとしたのだと思う。だが、その通りにはならなかった。
「は......?何で、何で消えないんだよ!おかしいだろ!俺が最強なのに!」
「いや、クオンは本当に天才なんだと思う。でも最強は俺の方だ」
体を消滅させられないよう、魔力の気を張りながら一歩一歩クオンに近づいていく。
「やめろ!来るな!消えろ消えろ消えろぉ!何で消えないんだよぉ!」
「悪いけどもう効かないよ。タネが分かってしまえばこっちのもんだからな」
一歩一歩ゆっくりと近づき、ついに間合いの中へと入った。
「クオンは本当に強かったよ。特に最後のには驚かされた。でも勝つのは俺の方だ」
「くそおおお!ぐうっ......!」
顔面を殴った俺の最後の一撃でクオンの魔力は尽き、気絶した。勝負がついたのだ。
「ど、どうやら決まったようです!Sクラス決勝トーナメント戦優勝はバート選手です!皆さん大きな拍手をぉぉ!!!」
ワァァァァッ!!と歓声と拍手が轟いた。
「ふう、危なかったな。一か八かだったけど何とか上手くいってよかった。しかし本当にブレーン理論ってあってたんだな。知らなかったら死んでいたところだ」
ブレーン理論というのは本当はこの宇宙はもっと多くの次元が存在するけれど、俺たちのような低エネルギー粒子は三次元の膜に束縛されているという理論だ。
だが重力子だけは別で自由に他の次元を行き来することが出来る。
つまりクオンはその性質を無意識に(魔法的に?)使い、俺の腕を他の次元に引きずり込みこの次元から消失させたというわけだ。
まあその腕が本当に他の次元に行ったのか確かめる術は俺にはないが。とにかくブレーン理論のイメージでクオンの攻撃を防げたのだから良しとしよう。
クオンが天才だと言っても流石に余剰次元のレベルまでいったら中々発動するのみで精一杯だろう。イメージを持った魔力で少し妨害してやっただけで途端に発動出来なくなるというわけだ。
色々不可解なところはあるが勝ちは勝ち。あまり細かいことは気にしない。
ただ少し危険すぎるので、クオンの脳をちょっといじって永久封印してやろう。
「ちょいちょいっと。これでもうあの魔法は使えないな。あ、そうだ。どうせならクオンの体に細工して悪行を出来ないようにしておこう」
もしかしたら逆上して無茶苦茶に暴れるかもしれない。そうなった時のために保険をかけて置かなければな。
悪意の信号を感知するセンサー、それに反応しニューロンを遮断することで意識を停止させるスイッチをクオンの脳に取り付ける。
「うん、いい感じだ。これなら悪いことをしようとしても意識が停止して出来なくなる。まあしようとは思わないだろうけど念のためにな」




