Sクラス決勝トーナメント2
クオンとネンの戦いが終わって一時間経ちレーアと俺が戦う番がやってきた。
俺が頼んで一時間インターバルを開けてもらった。理由は魔力の回復のためだ。
魔力量が多いとはいえ、流石に観客全員をネンの風魔法から守り続けるのには四分の一の魔力量を持っていかれた。
レーアに対しては舐めてかかったら負ける可能性があるからな。ちゃんと準備を整えてからでないと不安が残る。
お、開始のアナウンスが流れてきた。早いとこ入場しに行こう。
「皆さんお待たせしました!Sクラス決勝トーナメントの続きを開始致します!ではレーア選手、バート選手入場して下さい!」
合図とともに闘技場へ足を踏み入れる。レーアと俺が入ってくると観客の歓声が一層高まった。
「バート君と戦えるのは凄い楽しみにしてたんだ。最初から全力でいくよ」
「ああ、こっちもだ」
「さあ準備はよろしいですね!では始め!」
開始を告げる鐘の音が鳴った瞬間、先手を打ち電気魔法で攻める。
「いくぞ!囲電」
叫ぶと同時にレーアに向かって全方位から電流をブチかます。避けるのは不可能。
そして見事に直撃した。
......俺に。
「ぐうっ、何だよ今の......」
「へへーん、残念でしたー!」
くそっ。レーアのやつ、何でも転送できるバリアーみたいなものを体の周りに貼ってるな。しかもその転送先は俺、と。
タチ悪すぎるだろ。しまったな、その可能性は考えてなかったぞ。どうしようか。いくつか手はあるがクオンとの対決を前にあまり手の内を晒したくない。
「じゃあこっちもいくよ!死なないでね!」
レーアの上空に突如大小様々な大量の岩が出現し、地上に落下する瞬間にこちらへ転送してきた。運動エネルギーはそのままで上から横から全ての方向から高速の岩がとんでくる。
とはいえ、事前に危惧していたような俺の体がある空間には転送出来ないようだ。あくまで空気しかない場所にしか送れないらしい。
ひょいひょいと避け続け岩をやり過ごす。テレパシーによってどこに転送するのかを読み取っているので上手く避けていられる。
魔法が発動してから転送されるまでの時間はゼロだが、思考してから魔法を発動させるには必ず時間が必要だからな。
だから、
「ちぇっ、何で避けられるの?」
岩に隠れて瞬間移動してきたレーアに殺される事もないわけだ。視覚だけでなくテレパシー、魔力による探知の強みだな。
しかし完全に殺す勢いで来てるな。俺に触れ頭だけどこかへ転送させてしまうつもりのようだ。
「驚いたよバート君!こんなに避けられるとは思ってなかった」
「それはどうも」
「でも、私だってこれくらいでバート君が死ぬとは思ってないよ?」
「何を言って......」
テレパシーで読んでも「岩でバートを殺す」としか思っていないようだが......。
そう言ってパッとレーアが消えた瞬間、俺の頭上に現れた音速で落下する巨大な岩の姿が、すぐ目の前まで迫って来ていた。




