Sクラス決勝トーナメント1
Sクラスは四人なので予選は行われておらず決勝トーナメントで一位を決める。
組み合わせはクオン対ネン、レーア対俺だ。
多分決勝戦で一番と二番を戦わせたいがための組み合わせなのだろう。
正直ネンは厳しいな。二人で作戦を立てたがクオンに通用するかは分からないし、したところで多分負ける。
とはいえやってみないと分からないのも事実なので精一杯やってもらうしかない。
「さあ!いよいよSクラス決勝トーナメント一回戦の始まりです!まずはクオン選手対ネン選手だぁぁぁ!」
クオンとネンが入場し向かい合う。
「いやーさっきの試合凄かったよねー。この試合もあれだけ盛り上がるといいねー」
「そうだね、そのためにクオン君の対策も考えてきたんだ。取り敢えず瞬殺ってことにはならないんじゃないかな?」
「おー!そうなの?楽しみだなー!」
(じゃ、バート君頼むよ)
(ああ分かった。でもテレパシーで情報共有なんて狡いよなあ)
(いやいや、皆真魔法使うだろうしこれも真魔法の範疇だよ)
(まあね)
そう、俺とネンはたった今もテレパシーでお互いやり取りしているのだ。まあ他が重力とか転送とかのチート魔法持ってるんだからこれくらいは別にいいのかも知れない。
さて、最初の作戦はネンをクオンの視界から何とかして外す事だ。目くらまし戦法はベタ中のベタだが対クオンとしては一番効果があると思う。
見えなければ重力をネンに集中させることは出来ないだろうからな。
「ではお二方の準備が整いましたようなので試合を開始致します!では、始め!」
重厚な鐘の音が鳴り試合が始まった。
「行くよ!竜巻!」
ネンが叫んだ瞬間、爆発音とともに巨大な竜巻が五つ無秩序に闘技場内を激しく動き出した。
ちょっとフィアが可哀想になってくるほどレベルが違う。今は俺が観客席の前に電気魔法で壁を貼っているからいいが、無かったら全員吹っ飛んでるところだ。
さて、その中の一つにはネンが入っており外からはどれに入っているか分からないようになっている。他の四つはクオンの重力魔法を食らわないようにするための囮だ。少なくともこれで少しは時間が稼げるはず。
「なるほどねー。そう来たかー、数を多く作って時間稼ごうってこと?でも無駄だよー」
クオンは特に構える事もなく何気ない様子でネンの竜巻を全て消し去った。
「あはは、もしかしてこれで終わり?」
「いや、まだまだだよ!削風!」
ネンから発せられた風がクオンが立っている地面を抉り地面ごとクオンを上下方向にグルグル回す。
「おおおおー。すごいすごい目が回るー」
(じゃあ後は突撃するだけだ、頑張れ)
(うん。あの様子じゃ多分無理だろうけどね......)
グルグル回り方向感覚が分からなくなっている今重力魔法はまともに使えないはずだ。攻めるならこの時しかない。
「よし!行くよ!烈風......」
とネンが魔法を唱えようとした瞬間、クオンがピタッと止まりネンを重力によって縛り付けた。
「ごめんねー。俺平衡感覚?っていうのが得意みたいでさー。このくらいじゃ目回らないんだー。どっちが空でどっちが地面かも分かっちゃうしねー」
「......何それ。狡いなあ」
「伊達に一番じゃないからね。じゃーお疲れー」
グチュッ。とネンの体はいとも容易く潰れてしまった。殺さないというルールなので頭は無事のようだが。
「おおおおおー!熱闘を撃破したのはクオン選手だぁぁぁー!クオン選手は決勝戦に進出です!」
うーん。やっぱりダメだったか。重力を操れるって事で上下の方向感覚が分かるんだろうな。
さて、ネンが酷い状態になっているので早く治しに行こう。
「残念だったなネン」
「いやあ無理だよこれ......」
「まあボロ負けだったな」
「ひどい」




