合格
先生の喉を掻っ切ってしまったけど流石に罪もない人を殺すのは憚られる。治しておくか。
「......ハッ。今、何が起きた?」
「先生、今一回喉切られて死にましたよ」
「うぐっ......もう一回だ!」
もう一回って何だよ。
「灼熱炎走!」
ゴウッ
また同じ魔法か。今度は食らってやる必要はない。電気魔法で防いでやる。もろに食らうより魔力の消費量は少なくて済むからな。
「電磁結界」
放たれた炎魔法が体に触れた瞬間、電気魔法をかけ一瞬のうちに炎を煤へ変えてしまう。
「......」
開いた口が塞がらない様子だ。自分の自慢の魔法が一瞬にして消されたらそんなリアクションにもなっちゃうよな。
「うむ、それくらいにしておこうか。合格だ、バート君」
「ありがとうございます。校長先生」
「ちょっと待ってください!まだ負けたわけではありません!」
「いや、私だけでなく誰がどうみてもあなたの負けですよ。ジンギ先生」
「っくそ、分かったよ、俺の負けだよ!だがなバート!お前の魔法を認めたわけじゃねえからな!覚えてろ!」
そう言い残すと、逃げ去るように何処かへ走っていってしまった。
「さて、これで試験は終わりだ。悪かったねバート君。突然のことで」
「別に良いですよ。でもあの先生には多分恨まれましたね」
「はは、そうだな。まあいいのではないか?どうせもう会うことはないだろう」
「というと?」
「Sクラスは高校も授業はない。よって教師と会うことはほとんどないだろう。それにアレは特に炎魔法の授業しか持ってないからね」
ああ、高校もSクラスは授業受けなくてもいいのか。それは良いな。
最初はちゃんと授業も受けなければと思っていたけど、俺にとってはあまり価値がないんだと風魔法の授業を受けている時に気付いた。
その時まで忘れていたが、この学校はロート王国の中でも選りすぐりの才能溢るる魔法士が集まっている。つまり才能がある前提での授業となっているのだ。
俺はこの学校では最強だと思っているし、事実そうだろう(クオンを除く)。だが皆の才能には遠く及ばない。知識を知り、経験を積み重ねただけ、ちょっと理系を齧ったただの凡人だ。
そんな俺では授業を受けたところで何も得られない。自学自習の方が成長できる。




