何でも屋
さて、人体実験、実戦訓練が終わったところで本当の目的を達成しに行こう。
分解、再構築魔法はクオンに勝つための魔法じゃないからな。そんなのではなくもっと良いことに使わなければもったいない。
というわけで、中央の街にやって来た。
ここなら人も大勢いるし、街角が使えるだろうし、最初の店開きとしてはちょうど良い。
俺が開くのは「身体のことなら何でも屋」だ。長いしダサい名前だが、まあ良い。
文字通り身体についての悩みならなんでも解決する店だ。店といっても金を取るわけではないが。利益目的じゃないからな。
金なんか取らなくてもメリットとしては十分だ。だってロート王国の一大インフラになれるんだ。こんなに凄いことはないだろう。
もちろんお医者さんは大切だし、必要不可欠だ。だが、それとは一線を画すものだ。
施術のスピードは段違いだし、傷も残らない、後遺症もない、何なら前より健康体になれる。デメリットとしては、怪しくて不安になる人にはオススメ出来ないところだろうか。
こんな店無ければないで問題は無かっただろう。夢の様な話過ぎるからな。だが、一度現れてしまったらもう手放すことは出来ない。
それを全て俺一人の手によって行われる、つまり一つのインフラをほぼ独占していると言っても過言ではないことになる。こんな恐ろしいことがあるだろうか。
もっと言うならば、交通も、教育も掌握出来るだろうが、それをするには前回言ったような巨大なネットワークが必要になるので、やらない。
......なんだか俺が悪人のような感じになってしまったが、そんなことはない。ちゃんと人を治そうとしているわけだからな。
よし、気を取り直して出店を開こう。
「あの、すみません。僕の体の悩みを聞いてほしいのですが......」
「ありがとうございます!いやあ、よくいらっしゃって下さいました!」
二時間経ってようやく客が来てくれた。そんなにこの店怪しいだろうか。やっぱり実演してた方が良かったかな。
「で、どんな悩みで」
「実は、見てもらえば分かっていただけると思うのですが、左腕の肘から先を無くしてしまったんです」
「ははあ、成る程」
「なので何とかして頂きたいのです!お金ならいくらでも出しますので」
「お代は結構です。では、腕を新しくつけるということで宜しいですか?」
「ほ、本当ですか!構いません、というかお願いします!」
「分かりました。ではちょっと肩から先をいただきますね」
肩に手を乗せ、ポロッと腕を外す。
「え?ちょっと!何を!あれ?血が出てない、痛くない......」
「最初のお客様なので万全を期そうと思いまして、この方が確実なのです」
取り外した腕、遺伝子を解析する。
「一応聞きますが元の腕で宜しいんですね?」
「というと?」
「握力を300kgにしたり、筋骨隆々にしたり、動物の腕のようにしたり何でも出来ますけど」
「普通でいいです!」
あ、そう。ちょっと意外だな、変えると思ったんだけど。やっぱり生の声は参考になる。
持ってきた熊みたいな獣の手をバラし、それを使い、遺伝子情報と経験をもとに腕を構成していく。
「凄い!凄い!腕が生えてる!」
たちまち男の腕は元どおりになり、動作も良好なようだ。良かった、上手く出来た。
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「いえいえ、良いんですよ。ではまた何かあればいつでもどうぞ。お待ちしていますよ」
男は満面の笑みを携えながら帰っていった。
これでお客が来るようになるだろう。楽しみだ。




