更なるチートへ
後日、校長から実験の準備が整ったとの知らせを受けたので校長室へ会いに行くと、案内するから付いて来いと言われた。
「この部屋だ」
ギィッと開いた扉の先には鎖で繋がれた死刑囚の男の姿があった。血色はよく、少し痩せ気味ではあるが、肉も付いている。
「取り敢えず始めは魔法を微弱でしか使えないのを持ってきた。また何か新しく要望があれば言ってくれ。あと、実験中はそこの監視役を部屋の中へ入れておくが、構わないな?」
「もちろんです」
「部屋の中の道具は好きに使ってくれて構わない。では、私はこれで失礼するよ」
「何から何までありがとうございます」
早速、取り掛かることにしよう。
「おい、こんなとこに閉じ込めて一体何をするつもりだよ」
「ちょっとした実験のために来てもらったんだ。痛いかもしれないけど我慢してくれよな」
まずは簡単そうな所からいこう。千切れた腕を治す手術からだ。自分の腕では出来たが他人の腕を治すのは初めてだ。
ただくっつけるだけなら出来ると思うんだが、神経や血管を正しく繋げることが出来るかまでは分からないんだよな。
「じゃあまずは腕ぶった切るぞ」
電気魔法で男の体を麻痺させながら、鎖をほどき床へ転がす。そして立て掛けてあった斧を手に取り、男の右腕に狙いを定める。
......うーん。やっぱり俺は前世の人間だなあ、いざとなると結構躊躇してしまう。仕方ない。まずは他の部位から試そう。
「へっ、何だよ。ビビったのか?」
「痛いところつくなあ、その通りなんだよね」
男の頭に手を触れ、脳を探り、恐怖だとか倫理観を司る部位を見つける。自分の脳のどこにあるかは電気魔法を使って分かっているので男のもすぐに見つかった。
その部位だけ、神経を麻痺させ、機能を停止させる。これで、恐怖が無くなったはずだ。ちょっと試してみよう。
「ほら、斧だぞー。切れちゃうかもね」
斧を男の目の前、首回りに振りかざし、様子を見る。全く怖がっていない。
「じゃあ針はどうかな?目に刺さっちゃうぞ」
瞼を開け、眼球に針を近づけるが特に恐怖は感じていないようだ。
「おいおい、痛いのはやめろよな。そんな物騒なもんチラつかせるなよ」
よし、恐怖を感じない他は正常のようだ。これなら安心して俺にも適用出来るな。
自分の脳に電気魔法をかけ、神経を麻痺させる。
「さて、これで恐れも無くなった。じゃ、今度こそ腕切ろうか」
斧を取り、振り下ろす。
ダンッ
血飛沫があがり、なんて事はなく、ただボタボタと血が流れ出るだけだ。このまま失血死されても困るので電気魔法で止血をしておく。
「ぐうっ!」
「ま、痛いよな」
神経もぶった切られているわけなので勿論痛い。だが、別に痛がらせるのが目的ではない。痛くさせた理由は、ちゃんと元通りになっているかの判断材料の一つになるからだ。
電気魔法を使い、腕をくっつける。ノリで貼り合わせる時のように、斜めにして、端から徐々に接着させる。
全てを引っ付けようとするのではなく、神経、血管、筋肉を重点に置いて接着する。
おお!結構上手くいくじゃないか。一時間足らずで腕をくっつけることに成功したぞ。
「ちょっと動かしてみてくれ」
「......ああ」
グッパグッパと手を開いて閉じてもらったが、どうもぎこちないな。
「動かしにくいのか?」
「お前のせいだろうが!そうだよ、特に指が動かねえ!しかもまだ痛え!ふざけんなよ!」
「ダメだったか。じゃあ神経に電気流すとどうなるかな?」
少し電気を流してやると力強く手が握られた。
成る程、力は入るようだな。という事は神経だけがダメだったのか。とは言え、コツは掴んだし次は出来るかもな。
「じゃあ、次は左腕いこうか」




