テレパシー
あれから少しの間ネンに訓練を手伝ってもらった後、Sクラスのことについて聞いてみた。
「Sクラスの生徒たちで集まったりすることとかあるのか?」
「いやー、一回しか集まったことないなー。それも入学最初の日だけ」
「ふーん、でも学校には居るんだろ?集まろうってなっても不思議じゃないけどな」
「まあ、個人主義者しか居ないからねー。クオンは地下の部屋から殆ど出てこないし、ああ、2番の子?多分学校内には居ないよー」
「ええ?いや、まあそういう人も居るか。Aクラスにも居たしなあ」
「バート君はどうするの?学校で魔法の訓練をする?それとも外でする?」
「取り敢えずは学校でやることにするよ。まだまだ読みたい本もあるし、実は校長に頼んで実験をさせてもらえる事になったんだ」
「へー、ヒトを使った実験かー。面白そうだねー」
「まあね。しかしやっぱり便利だよなあ、テレパシー。会話がめちゃくちゃ楽になる」
「これでもSクラスだからね!」
「流石ネン。あ、そうだ。脈絡もないこと言うけど、ネンは何か校長に要望とか言った?」
「あー、一つだけ言ったなー。あのねー、僕の真魔法ってテレパシーじゃん?人がウソついてるかどうか分かるんだよねー」
「そうだろうな」
「そうなんだよ。だからさ、取り調べの時とかに連れてこられたりするわけなんだー。犯罪者とかがウソついてるのかどうか判別するためにね」
「良いことじゃないか」
「ところがどっこい。命令されるんだよー?◯◯はウソをついてると言え、とかね。出来レースなのさー」
「うーわ、嫌だなそれは」
「だろー?だから校長に頼んで僕を呼んでも対応しないようにしてもらったのさー」
「成る程、それなら納得だな」
確かに、便利な魔法を使えるとそういうこともあるよな。俺も大人になって電気魔法を使いこなせる時が来たら、何か考えておかないと良いように利用されてしまうかもしれない。
「あ、そうだ!バート君に言い忘れてたことがあった!」
「言い忘れてたこと?」
「そうそう!前会った時さー、バート君、今自分が何を食べたいか分かるかって聞いたことあったよね?」
「......あったけど」
「あれの意味が長いこと分かんなくてさー、でもなんか引っかかってたんだよねー、でも今分かったよ。バート君、キミ、僕を疑ってるだろ」
「疑ってなんかないさ」
「本当?ならなんであの時偽の思考を僕に流したのかな?読み取られないようにするのならまだ分かるけど?」
「......」
「あ、一応言っておくともう無駄だからね?タネさえ分かれば偽じゃなくて本物の思考を読み取れるからさ」
「それは......凄いな」
額に嫌な汗が流れる。これは、俺が悪い。
「......ふぅ。ま、いいよ、許してあげる。実を言うとバート君が本当に僕を疑ってるわけじゃないことは分かってたからさ、テレパシーで」
「いや謝らせてくれ、俺が悪かった。ネンのこと、疑いすぎていた」
「いいよいいよ、テレパシーが使えるなんて言ったら普通、バート君よりもっとみんな嫌悪感を抱くからさー。......でも大丈夫だよ。別に騙そうとなんかしてないから、もうちょっと信用してよ」
「ああ、分かった。信用するよ」
「な、なんかやけに素直っていうか、どうしたのさ、急に」
「いやあ、ネンが嘘ついてないってことが分かったからさ、信用して良いかなって」
「え?まさか」
「俺もテレパシー使えるようになった」
「絶対僕よりバート君の方がタチが悪いよ!」
そうかな?テレパシーって言っても嘘ついてるかどうかの判別だけだし、そうでもないだろ。
「人の魔法盗むなんて......」
「いや、盗むつもりは無かったんだけど、電気魔法の分野だから出来るかなって思ったら、出来ちゃった」
「本当ズルいよね、バート君の魔法」
「それは俺もそう思う」




