魔力中毒
魔力の訓練を続けること一年が経ち、俺は一歳になった。魔力密度は十ヶ月前の十倍ほどになり、身体機能は遥かに向上していた。
そんな順風満帆な中、一歳の誕生日を迎えた朝、俺はいきなり倒れて意識を失ってしまい、病院に運ばれた。
「バート君は魔力中毒になっていらっしゃいます」
白衣を着た医者が告げた。
「なっ!それってよく魔法士がかかるっていう病気じゃないですか!」
「正しくは魔法士の訓練生が、ですね。魔力量を増やす訓練をしている最中、魔力を溜めすぎて密度が高くなることによって中毒を起こしてしまうのです」
「うちの子は、バートは大丈夫なんでしょうか?」
「すぐに対処すれば命に関わるものではないですので安心して下さい」
「そ、そうですか、安心しました」
「しかし、一歳の子が魔力中毒を起こすなんて聞いたことがありません。何か心当たりはありませんか?」
「いや、特に何もしていませんし、普通に育てているだけです」
「変な事が起きた事もないですわ」
「そうですか......。では、また何かありましたら教えてください。治療は夜までかかりますので後ほどもう一度お越し下さい。それでは失礼します」
そう言うと、医者は奥の部屋に行ってしまった。
「ふう。何とか助かるみたいだな」
「せっかく、今日はバートの誕生日だったのに」
「まあ、そう言うな。それに夜には帰って来られるんだろう?早く帰ってパーティーの準備をしようじゃないか」
「そうね。ありがとう。じゃあ、まずはお肉を買いに行きましょうか」
二人は夜に行う誕生パーティのために、夜まで買い出しに行った。
所変わって治療室。
一人の医者と、二人の助手がバートを前に驚きを隠せずにいた。
「これは、すごいな」
「先生、先程からずっとこの調子でもう三本目ですよ!」
「魔吸草がこれほど成長するとは、どれだけの魔力をこの小さな体に溜め込んでいたのだ......」
魔力中毒の治療法は、体内に溜まりすぎた魔力を抜く事である。そのために用いられるのが、寄生した人間の魔力を吸う魔吸草という植物である。副作用が無く安価であるため、最もポピュラーな治療法なのだ。通常の訓練生であれば魔吸草は三十センチ程育った所で止まってしまうのだが、
「軽く一メートルは越えているな」
「成長速度も尋常ではありません」
「三本目も成長しすぎている。四本目を使うぞ!」
「おいおい、四本目も成長し続けてるじゃないか......」
結局、六本目の途中で成長が止まり、皆ホッと一安心した。
「しかし根本的に治ったわけではありませんよね」
「ああ、通常であればこれから魔力の排出を早く出来るように訓練させるのだが、こうも小さいとな、意思の疎通は難しいだろう」
「では、どうすれば」
「ある程度の年齢までは、定期的に通院してもらうしかないな」
こうして、夜になり元気になった俺は、迎えに来た両親と共に帰ってパーティーをして楽しんだ。両親のおかげで、素晴らしい誕生日を迎える事が出来たのだ。




