水魔法、炎魔法
さて、これで水魔法の基礎を極め終わったかというとそういうわけでもない。まだゼロから氷、水蒸気を作ることができないのだ。言い換えると、水を作ってからそれを相転移させることしかできないのだ。
何故かというと、水と氷では構造がまるで違うのだ。複雑なのは水だが、これは常に接していてイメージも出来ているため、転生した俺でも所謂、魔法的に作れるのだが、氷は水ほど常に感じるものではないので、構造を理解しなければゼロから生み出すことは出来ないのだ。
水蒸気は多分練習すればすぐに出来るようになると思うので心配はしていないのだが、氷を作るのは結構長い道のりかもしれない。
俺は電子レベルまで細かく物を捉えることが可能になったが、それはあくまで局所的にであり、その細かいもの同士の構造のようなミクロにおける複合的事象までは捉えきれないのが今の段階だ。
その点、水を氷に変えるのは簡単だ。分子の動きを遅くしてやれば勝手に構造を変えて、氷になってくれるのだから。
ただその方法は魔力や生成時間を余計に食うので、出来ればゼロから作れるようになるのがベストだ。その方が質もよくなるし。
キーン、コーン、カーン、コーン
もう二時間目か、時が経つのは早いな。
「はい、皆さんおまたせー。こんにちは!じゃあ今日も炎魔法についてやっていこうかー」
テンション高いな。炎魔法やってるとテンションが高くなるのか、テンションが高いと炎魔法をやりだすのか、どちらだろうな。
「おとといは炎についての知識を学びましたね!今日は実際に触れ合ってみたいと思います」
「えー」
「熱そう」
「もちろん、熱いです。では私が見本を見せましょう」
左手の人差し指から小さな炎を作り出し、右手の人差し指を炎の中へ通過させた。
「クゥーッ、あっついあっつい!炎を感じてる!って気がするねえ」
そういうと、生徒の方へ向き直った。
「では皆さん、順番に私のところへ並んで今のように炎を感じてください。怖がらないことがコツですよ」
順番ってことは、俺からか。では並びに行こう。
「ん?バート君はおとといいなかったよね?知識がない状態だとただあっついだけで終わっちゃうから、今日はやめとこうか」
「いえ、知っているから大丈夫です」
「本当かい?じゃあ、炎は気体、液体、固体のどーれだ?」
「どれでもありません」
「......正解だ。よく勉強しているね!じゃあどうぞ!」
「ありがとうございます。それでは」
ジュッ、ああ、熱い。でも、熱いけど、何となく分かる、分かるぞ!
「ちょっと!長くない?大丈夫?」
「もうちょっと、もうちょっとだけ」
くっ、もう少しで、もう少しで、ハッ。
「はい終わり!もうダメ!これ以上は」
「分かった」
「ん、分かってくれたみたいだね」
「そうじゃなくて、炎の構造が」
「分かったって、どのくらい?」
「ほぼ、全てですね」
ゴウッ!
左手に野球ボール大の火球を作り出す。それもただの火球じゃない。今の限界まで火力を高めた火球だ。今ので魔力の半分くらいは火に変わってしまっただろうか。
「熱っ!あっつ!なにこれ⁉︎」
俺の周りにいた人たちが一斉に遠ざかる。
「おい!アレやべーぞ。あんな小さいのに十メートルくらい離れてても熱さが伝わってくる!」
しまった。少し制御しきれていないか。少し火力を落とそう。
「あー。だいぶましになってきたぞ」
「バート君⁉︎その火球は一体......」
「だから言ったじゃないですか、構造をほぼ全て理解したって」
「そ、そんなことが......」
「やっぱバートには敵わん」




