復帰
教室に入ると、大炎獄君と目玉君が話しかけてきた。目玉君とは、風魔法で目玉を浮かせていたあの男のことである。両方ともこのあだ名で今は定着しているらしい。
「よお、サボリ魔。元気だったか?」
「やあ、サボリ魔君、おはよう」
「お前ら......」
あのなあ、俺が休んでたのは腕がぶっ壊れたからだっていうのに。まあ長く休みすぎたのは否定できないが。
「バート何かしたのか?担任のやつが言ってたぜ、どっかの誰かみたいに授業は休まないようにしようなーとか」
「ついていけなくて困るのは自分だからなーとかも言ってたね」
「はあ、あいつめ」
「よーし、お前ら席につけー。ホームルームを始めるぞー」
さあ、やってきたぞ。担任が。
「おおー、バート君来たのかね?いやあもう来ないのかと思って心配していた所だったよ」
「いえ腕も治りましたので、今日からよろしくお願いします」
うわあ、うざい。すごい嫌味ったらしい言い方してきたぞこのおっさん。
「だが、休んでいたからといって授業について来られないのは許されないからな?何といったって、実力が全て、なのだから!」
「肝に命じます」
こういう人っていないようで結構いるもんだよな。何でだろうな?
さて、ともかく今日の一時間目は水魔法の授業か、しっかりと学ぼう。
「今日は、皆でコップに入った水を持ったり、触ったり、舐めたり、何でもいいので水というものを体感していきましょう」
ええ、なにその授業。側から見たらヤバイ人にしか見えないぞ。
「昨日は水についての知識を教えましたね。このように、知識を得、理解したのち実際に体感する。このプロセスを何度も経ることによって効率の良い魔法習得が可能になるのです」
なるほど、その通りだな。
「最初は上手くいかないかもしれませんが、一年が経つ頃には学んだ知識を体感できるようになるでしょう。では始め」
合図とともに、皆一斉に水を舐めたり、指につけたり、各々様々に触っている。
じゃあ俺もやろう。幸い三日間の修業の中で体に魔力を満たせば電子レベルなら分かるようになっているからな。
とりあえず指につけてみるか。えーっと、H2O、極性あり、角度は104.5度......おっ、おー!何となくわかる。はっきりとではないけど、H2Oがあるんだってことは分かる!
「バート君?君は昨日いませんでしたね?知識をつけていない状態では意味がありませんよ、今から学習しますか?」
「いえ、先生分かりました!水をしっかり体感することが出来ました」
「そうですか、では試しに、水球を作り出し半分を氷にしてみなさい。これをスピーディーにやるには水についての理解が必須ですからね」
「分かりました、やってみます」
右手に水球を作り出し、分子レベルで捉える。左半分を氷に、つまり分子の動きを遅くする。
バキンッという音とともに、左半分の水が一瞬で凍りついた。
「ほ、本当にバート君は理解していたのですか......。しかも徐々に氷にするのではなくほぼ同時に氷にしてしまうとは」
「すげーな、あいつ」
「だめだ、バートには敵わん」
「水魔法に関してはもう一年生で教えることは何もないな、明日からはどうするかい?」
「では、図書館などに行って自学自習したいと思います」
「そうか、では私の方からそう伝えておこう」
「ありがとうございます」
やはり、俺は他の人よりも成長が早いようだ、当たり前だが。なんたって俺にはほんの一部とはいえ、何千年の人類の歴史がついているのだから。




