最強の魔法
「次は君?それは構わないけど別に全員でかかって来てくれてもいいよー?」
「いや、サシでやってみたいんだ。いいよな?」
「へー、結構自信があるんだね。ちょっと楽しみかなー。じゃあいつでもどうぞー」
「期待に沿えるよう努力するよ」
さあ、最初から全身全霊でいくぞ。魔力を凝縮させ、放出する瞬間に電気へと変換させる。これが今の俺に出来る最高の魔法だ。
「いくぞ!雷電!」
空気をプラズマ化させるほどに強力な電気がクオンに向かって襲いかかる。
「な⁉︎ぐっ」
やった!手応えありだ。クオンに少しだがダメージを食らわせた。決して勝つことが不可能な相手ではない!
「や、やるなー。ちょっと手が痺れちゃったよ。初めて見る魔法だけど、雷の魔法なのかな?」
「さあな」
ちょっと痺れただけ、か。まあいい、今の時点でも少しだが攻撃が通ることが分かったからな。
「少しとはいえ、魔法が完全に直撃したのは生まれて初めてかも。ちょっとだけ、ちょっとだけムキになっちゃおうかなー?」
「ま、まずい。クオン君!止めろ!止めるんだ!」
ヒュンッ
「うっ!うわああああ!」
我ながら情けない声を出しながら勢いよく吹っ飛ばされた。
唐突に、何が起きたでもなく俺の体は吹っ飛ばされたのだ、それもかなりの速度で。もう学校の敷地外に出てしまった。
見た目は地味だが、相当やばい。
恐ろしいことに、加速度運動をしているのだ。もちろん、進行方向に。つまり、何らかの力によって未だに俺の体に力が加え続けられていることになる。
でも、こんなことが出来る力で、俺が知ってるのはあれしかないよなあ。目に魔力を込め、イメージをしながら自分の体を見てみる。
やっぱり、思った通りだ。
って、そんなこと言ってる場合じゃない。今はめちゃくちゃやばい状況だ。このまま地面に落下したら死んでしまうかもしれない。あの野郎、殺さないとか言ってたくせに。
あ、力が消えた、落ちる。どうしようかな。仕方ない、腕を犠牲にするか。腕に自分の魔力の殆どを注ぎ込み、強度、柔軟性を高める。
これで腕に衝撃の全てがいってくれれば、腕がイカレるだけで死にはしないだろう。
頼む!助かってくれ!そう願いながら地面への衝撃に身構えていると、ふわりと吹いて来た風が俺の速度を落としてくれた。
な、なんだ?いや、とにかく助かった!これだけ速度が落ちれば!
ズダンッ、と腕から地面に落っこち、数十メートルほど転がっていった。
なんとか、無事だったようだ。
「はは、う、腕はバキバキだけど、このくらいなら、なんとか、治せるかな。とりあえず、命があってよかった」
それにしても今の風は......?
「おーい。バート君大丈夫?」
ネンか。
「ああ、大丈夫だよ。ありがとな」
「やっぱりいつ見ても大丈夫じゃないと思うんだよなあ。どういたしまして!」
「ああ、あと化物って言っちゃって悪かったな、ごめん」
「ええ?いきなりどうしたの?」
「一言謝っておきたくて。それで、どうしてここに?」
「それはバート君たちがクオンと戦ってるのがテレパシーで分かって、もしかしたらと準備してたんだ」
「そうなんだ。本当にありがとう。それにしても、戦いにすらなってなかったけどな」
「でも、一撃は食らわせたんだよね?それって凄いことだよ」
「そうだな。あと、相手の魔法が分かったから突破口が見えたかもしれない」
「え?本当に?」
「ああ、だがそれの対策が出来るようになるにはもう少しかかるかな。五歳くらいの時から訓練してるんだが、なかなか出来なくて。でももう少しで出来そうなんだ」
「その、クオンの魔法って一体何だったの⁉︎」
「ああ、あいつの魔法は重力魔法、もっと言えば重力子を生み出し自在に操る魔法だ」
・重力子
重力を伝える粒子。こいつを交換しあうことによって重力が物体間に働く。未発見。三次元でない別の次元に飛んでいったり、寿命が無限大だったりする。




