協力の密約
「えぇ?嫌だ」
「な、なんで?一番になりたかったんじゃないの?」
「誰にでも勝てるくらい強くなりたいとは言ったけど、実際に勝つ必要は無いんだよね。だから他を当たってよ」
「じゃあなんで強くなりたいのさ」
「俺は人を助けられる力が欲しいんだ。だからそのためだけに強くなってるんだ」
「うーん。でもさでもさ、そのためにはやっぱり一番になることが必要だと思うな」
「なんでだよ」
「ほら、校長先生も言ってたように実力は力が全てじゃないってことだよ。一番になれば地位と名声が手に入ってより沢山の人を助けられると思うなー」
ぐっ、そうかもしれない。
「それに、もし君が僕と競い合って一番になれずに僕が一番になったとしても、君の人助けに協力することを約束するよ」
あーー!分かった、分かったよ。協力するよ。
「やった!これで百人力だよ」
と言っても相手はSクラスの一番なんだろ?俺が手を貸した所でどうとなるわけでもないと思うんだが、何か策はあるのか?
「無いよ!というか相手の魔法が何かすら知らないんだ」
ダメじゃないか。
「僕だって今すぐ勝とうなんて思ってないよ。実は、高校生の終わり間際に魔法の闘技大会があるんだ。そこで勝負をつけようと思ってるんだ」
なるほどな。
「今は策が無くても闘技大会の時までには君なら多分思いついてるはずさ」
簡単に言ってくれるな。今までの人だって真魔法については不思議な魔法、で済ませてきたんだろ?
「そうだけど、君はちょっと違うよね。魔力のことを多分この世界の誰よりも理解してると思うし、電気魔法?だって使えるのは君一人じゃないか。可能性は高いと僕は思うね」
確かに、俺は他の魔法士とは違った視点から見ることが出来るかもな。
「それに、魔力のことも魔法のこともまだまだ習ってないことだらけだよ。だって君小学生じゃないか」
そういえばそうだ、俺は小学生だったな。前世で小学生してた時の俺は微分積分はおろか関数って言葉すら知らなかったもんなあ。懐かしい。
高校生になっても、知らないことだらけだけど。物理でいえば量子力学とか、それ以前に既知の分野もより深くやるはずだったのになあ。この世界にもあるんだろうか?
まあそれは置いといて、どうせ真魔法については将来研究しようと思ってた所だしな。協力しよう。その代わりクオンについての情報もくれよ?何もなしじゃ流石に対策立てられないからな。
「もちろんだよ!......と言いたい所だけど難しいかも。出来るだけ尽力するけどね!」
おいちょっと待てそれは困るぞ。
「だってSクラスの一番の魔法だよ?完全に秘匿されてるから僕だってまだ一回も会ったこともないんだ」
そりゃそうか。でもそんな奴が闘技大会に出るのか?公の場だろう。
「詳細は知らせたくなくても力の誇示はしなくちゃいけないからね。それに、本当に強いのかの証明にもなるしね」
なるほど。でも事前情報一切なしじゃ絶対勝てないから何とかしてくれよ?
「出来る限り頑張ってみるよ」
本当かよ。
......なんだか変なことになっちゃったなあ。




