真魔法
寮はA、Bクラス共同であり一年生から三年生まで同じ棟に住んでいる。
もちろん、男子寮である。
寮母さんや調理員さんはおらず生徒のみで主に三年生が管理、運営している。
よって朝、晩の料理や掃除も自らで行う。これは小さいうちから生活力を身につけるための訓練の一環となっているのだ。
部屋は二人で一部屋であり、俺の同居人はレイドである。これは基本的に三年間変わらないらしい。他の部屋も同様に番号順で決まっている。実力が全てって言ってもここまでやるのかとは疑問に思う。
これで入学オリエンテーションは終了だ。今日だけは一年生は料理や掃除はしなくていいと言われたのでそのまま風呂に入り自分の部屋へと戻る。
消灯時間は十時だ。今は九時だからあと一時間は猶予があるな。
「レイド、昼食の時言ってた真魔法ってやつを教えてくれないか?」
「ああ、いいぜ。...バートは真魔法について何も知らないんだよな?」
「うん。あの時初めて聞いた」
「よし分かった。じゃあまずはどんな魔法なのか教えよう。簡単に言うとだ、あり得ないことを発生させる魔法のことを真魔法って言うんだ。だから真魔法が魔法の極みだって言う人もいる」
「あり得ないこと?」
「例えば炎魔法なんかは別に魔法でなくたって木を擦れば火は起こせるだろ?」
「なるほど」
「それと同じように水魔法は汲んでぶっかければいいし、風魔法は扇げばいい」
「じゃあ電気魔法は真魔法じゃないな。人の手でも電気は起こせる」
「そうなのか、なら違うな。まあ、もう分かったと思うが真魔法は普通じゃできないことができる魔法なんだ」
え、強くないか?これ割と最強への道が閉ざされてしまったのでは?
「過去の真魔法の使い手だと見ただけで相手を殺したとか、そんな話もあったな」
「強すぎないか、それ」
「ああ、だからSクラスがあるんだよ。あれはそいつらのためのクラスなんだ」
「じゃあこの世代には少なくとも十人は真魔法を使える奴がいるってことか?」
「あ、いや。ちょっと違う。多分三人くらいだと思う。あとはコネと金で入った無能」
「おいおい、実力が全てって言ってたのに」
「でも一理あると思うぜ。コネだろうが金だろうが使えるもんは使うのも実力のうちだと俺は思うぞ」
「確かに、そういう考えもあるのかな」
「まあでも大抵が三ヶ月もすれば自分から辞めてくらしいけどな。周りとの実力差に耐えきれなくなるらしい」
「あはは、それはあるだろうね」
「だからある意味汚い手を使って何かを手に入れてもすぐに手放さなきゃいけなくなるぞっていうメッセージなのかも知れんな」
「そこまで考えてるのかな?」
「さあな。でもそう考えると面白いよな」
その後も消灯時間まで話し続け、眠りについた。こんな風に過ごすのは前世でもあまり経験がなかったから凄い楽しいな。
でも楽しんでいるだけではだめだ。聞く限りでは真魔法の使い手は強いらしいからな。ただし相手も人間だ。絶対勝てるようになるはずだ。
それに、見ただけで殺せる魔法なんて本当にあるのか?絶対何か理屈があるはずだ。そこをつけば勝てる、かもしれないな。
別に殺し合いがしたいってわけじゃないんだけどね。
どうせ強くなるならやっぱり最強を目指すべきだろう。




