昼食
食堂を見た後は運動場やプールなどを見ていった。前世の記憶を持っている俺からすると大きい運動場の中にいるとまるで小人になったかのようで面白かった。
中には調子に乗った奴が運動場を勝手に走りまわって、先生に怒られている様子を皆で笑いあったりもした。
ひとしきり見てまわるともう昼過ぎになっていた。昼食の時間だ。俺たちはまた食堂へ戻ってきた。
じゃあさっき行かなくても良かったじゃないかと思うかもしれないが腹を空かせた小学生がちゃんと説明を聞いて座れるだろうか。
絶対座れない。そのために事前に下見をしておく必要があったのだ。
担任が指示を出す。
「さあ、皆待たせたな。いよいよ昼食の時間だ。それぞれ指定された席に座ってくれ」
俺は一番だから座る場所が分かりやすくていいな。入って左側の壁際で一番奥の席だ。調理場から近いので便利なのだ。
座席は四人テーブルに分かれており俺たちのテーブルには一番から四番までが座ることになっている。
出席番号は成績順だからこの学校内でもトップに近い実力を持った人たちが集まるわけだ。なので今から凄くワクワクしている。
でもまだ俺は三人がどんな人なのか知らない。入学式の時も列は揃えたが並ぶ順番はぐちゃぐちゃだったからな。そういうところはこの学校適当なんだ。
座席に着くと、すでに二番の人が座っていた。オレンジ色のショートカットの女子だ。姿勢を正しくしてキチッとしていながらはつらつな感じもある。
早速話しかけよう。
「こんにちは」
「あ!バート君、こんにちは!」
「え、俺のこと知ってるの?」
「結構有名だよ、噂にもなってるからね。Aクラスで一番のバートって子がいちゃもんを付けてきた男子に勝負を仕掛けて圧勝したって噂」
「そんな噂が流れてるなんて全然知らなかった」
「そうなの?」
「うん。でも勝負を吹っかけてきたのはあっちだけどね」
「へー。でも圧勝したのは本当なんだ」
「それは本当だよ。でも相手が弱かったんだ」
そんな話をしていると三番と四番の人が二人並んでやってきた。
一人は水色でロングの女子だ。おとなしそうな様子で物静かだ。もう一方は豪気な男子だ。赤色でとげとげしい髪も相まって力強さを感じる。
「おう、お前らもう仲良くなったのか?」
「ふふ、まあね。ていうかそっちこそ二人並んでやってきて仲よさそうじゃん!」
「ああ、さっき学内見学の時に会って意気投合したんだけどまさか三番の奴だとは思わなかったぜ」
「私も四番の人だったなんて思わなかった」
「じゃあこれで全員揃ったってわけだね」
「そうだな、これからよろしくな!」
「私こそ、よろしくね!」
「よろしくお願いします」
それから担任から食堂を使用する際の諸注意を受けた後、昼食を調理場から受け取り、食事を開始した。
今日の料理はパンと、野菜と豆と白身魚のスープだ。
思ってたのと違うな。貴族が集まる場だからもっと肉なんかの豪華な料理を想像していたんだが。
「うん!美味いな!ずっとこの時を待ち望んでた甲斐があったぜ」
「そうなのか?貴族ならもっと美味しい料理を食べてたんじゃ」
「まあ、味はいつも食べてた高級な料理の方が美味しいんだけどさ。こうやって皆でワイワイ食べるって経験が今まで無かったから」
「そうそう!いちいちマナーがどうだとかうるさいんだよね」
「たまにパーティーがあると思っても結局するのは政治の話ばかりでちっとも面白くないんだ」
そうか。美味しいものばかり食べていて羨ましいと思ってたがそういう視点もあるのか。
「バートは?やっぱり家族と食べる時も話しながら食べたりしたんだろ?」
「ああ、うちの両親は明るくて。いつも他愛ないことを話しながら食べてたよ」
「いいな。私にはそんな経験がない」
「でもこれからは違うよね!皆で楽しみながら食べようよ!」
「ああ、そうだな!」
平民と貴族。お互いのことを知り合って少し仲が深まった気がした。




