7話『ハッカー集団【マリオネット】』
お久しぶりです。A-勅使河原です。お客様に大事なお知らせがあります。
これからのA-桜小町様との生活を安全に、快適に過ごしていただくためのお知らせです。
今、巷で問題となっているのが、ハッカー集団の存在です。
そのハッカー集団の名は【マリオネット】です。
マリオネットはアンドロイドに非合理な小さなプラグを差し込み、無理やりアンドロイドを乗っ取り、操作を企てる集団です。
操られたアンドロイドは思いもよらぬ行動を起こし、問題沙汰になっています。
マリオネットはアンドロイドの存在を否定する、反社会組織です。
他人の所有物を自分の物にしてしまうため、法律にも反した行為をおこなっています。
そしてマリオネットは大きな集団となりつつあり、
人々とアンドロイドの生活を脅かす存在になっております。
マリオネットに遭遇した時は、速やかにアンドロイド警察に連絡をしてください。
そして、むやみに抵抗してしまうとお客様にも被害を受ける可能性があります。
相手は反社会組織です。アンドロイドを置いてでも逃げることをお願い申しあげます。
「何と恐ろしい」
今にもアンドロイドを手放したくなるような説明だった。
アンドロイドを所有しているだけで、悪の組織に狙われるということなのだろう。
アンドロイドと外出することを避ける家庭も出ているほどだ。
「A-桜小町ちゃん、重次郎はお前さんを外に出すことを拒んでおるのじゃが、どう思う?」
「私も避けたい事案であります。もし重次郎様に何かあったら大変なことです」
ハッカー集団の存在は、アンドロイド達にも要注意すべき対象として通達が来た。
安全に外に出ることもままならないのだ。
「たいちゃん、私はしばらく外に出ることを禁止した方がいいですか?」
(たいちゃん・・・そう言えば、そう呼ばれていたな・・・)
鈴音が口を開く。
「まぁ、外に出ないと爺ちゃんのおつかいにも行けないだろう。なるべく協力するけど、マリオネットに警戒しすぎると何もできなくなってしまうよ」
A-桜小町は重次郎の家政婦のようなもの。何もできなくなってしまうと、生活に支障をきたす。
鈴音が協力するとは、なるべく一緒に行動を共にすることを考えていた。
「よいかの?たいくん・・・」
「あぁ、爺ちゃんにはお世話になっているのだから、協力するよ。事件に発展するほどの問題は起こっていないそうだし、マリオネットも慎重にくるはずだよ」
「そうだといいのじゃがな・・・」
おそらくハッカー集団【マリオネット】の存在は社会問題になるほどなのかもしれない。
鈴音は菅原の2体のアンドロイドも心配した。
「友人にもアンドロイドを所有する奴がいるんだよ。注意喚起しないとね」
「私がA-権蔵さん、A-真子姫には注意喚起のメッセージを送りました。おそらくもう存じ上げているでしょう」
口を割るようにA-勅使河原が話し出す。
「とにかくお客様方にはアンドロイドに危険が及ばぬよう、危険登録されたハッカーが近くにいると分かれば、警報が鳴るよう警報アプリをインストールしておきました」
「ありがとう。A-勅使河原さん」
「どういたしまして」
「ちなみに、登録されたハッカーの情報って見れるのかな?」
「警察からも指名手配が及んでいるモノなら公開できます」
「モノ?人間か?それとも・・・」
頭を抱えながら鈴音はA-勅使河原に解答を求めた。
「えぇ、人間だけではなく、アンドロイドもハッカー集団に存在します」
公開されているリストを見せてもらう。
白黒でほとんどわからなかった。
(これじゃ、わからないな。目で見ても相手が特定できなさそうだ)
「とにかく、A-桜小町様が警報を鳴らせば逃げることです。おそらく他のアンドロイド達にも警報アプリがインストールされていることでしょう」
「警報が鳴れば走れ・・・で良いのかな」
「うむ、その通りじゃ」
重次郎は事の問題に恐れていた。
家族の一員のように迎えたばかりのA-桜小町にもしものことがあったら心配でならない。孫にも危険が及ぶとなると不安でいっぱいだ。
「爺ちゃん、心配しないで。A-桜小町は一生懸命働いてくれているから、手放すことだけは止めてあげてね」
優しい言葉だった・・・。
警報の音はとにかくやかましい。
すぐにわかる音だ。
その音が鳴ったらとにかく逃げるのだと確認しあうのだった。
A-勅使河原も今までにない問題だったため、お客さんの対応に追われている。
「あまりゆっくりお話ができず、申し訳ございません。次のお客様がお待ちです。またのお越しをお待ちしております」
ハッカー集団【マリオネット】は今後、世間を恐怖に陥れる存在になる。
今までにない反社会組織に国中が恐れていた。
アンドロイドも不安にさせる問題だ。
その問題は相次ぎ、毎日のようにアンドロイドに知らせが来るのであった。