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私、桜小町はアンドロイドです。  作者: 山本 宙
3章~僕らの希望は+αにかかっている~
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28話『悪が得たリボルバー』

 同刻、夜の事である。スクランブル交差点で起こった出来事は、マリオネットのアジトで話題となっていた。


「どうするんだ。あのアンドロイドは一体何者なのだ!?」


大剣を振りかざしたα-ショコラは、マリオネットの隊員に大きな印象を与えていた。

なぜなら、武器を保有しているアンドロイドは、アンドロイド法に背く存在であり、国家の敵だからだ。


「奴らの目的は一体何なのだ・・・」


「アンドロイドを5体も奪われてしまった。いや?逃がしていたのか・・・」


あらゆる考察が飛び交う中、皆のやり取りをユミエが遮るように話し出す


「何らかの方法で、スパイプラグからアンドロイドに送る指令を遮断した。どうもスパイプラグに敵対しているようにしかみえない。マリオネットの邪魔をする以上、私たちの敵よ。」


ある隊員が言葉を漏らす。


「あの~、大剣を持ったアンドロイドの持ち主であろう人物がサファイア=ファミリアとかいう組織名を名乗っていました」


「サファイア=ファミリア・・・ふざけた名だな。しかしアンドロイド警察ではないということだな」


ユミエを中心に話を進めていく中、上階であろう鉄格子の通路を歩く人物がいた。

コツコツと音を立てながら、皆が集まる場の真上にあたる所で足を止めた。


「ずいぶん参っているようだね~」


「ボス!!」

「田邊ボス!!!」


鉄格子の通路に立ち皆を見下げているのは、鈴音の友達である田邊岳人だった。


「まぁ、マリオネットに新たな敵があらわれたと言えるね。しかも武力を持った組織だってね・・・」


「どうしますか?田邊ボス!!」


不快な笑みを浮かべながら、ゆっくりと口を開いた。


「俺たちの目的はアンドロイドの駆逐だ・・・。元々強奪してきたアンドロイドは、戦闘要員としてかっさらってきたガラクタだろ?」


「えぇ・・・」


「だったら、俺たちの操り人形となったアンドロイドに武器を持たせて戦わせたら良いじゃねーか。アンドロイドでアンドロイドを駆逐するんだよ」


隊員たちが向き合って笑みを浮かべた。そして次々と握手をしだした。

アンドロイド同士の戦いを、皆は待ち望んでいたのだ。


ユミエも小さくガッツポーズをして鮫沖を見た。

(これで、アンドロイドの撲滅が、急激に進む・・・。強奪の目的が実行されるのだ)


「それでは・・・60体のアンドロイドを改造しよう」

田邊がそう言うと、隊員二人が大きな緑色のカーテンを引く。

そこにはいくつもの機械がテーブルに並べられていた。


「海外からの密輸で手に入れたリボルバーだ。全アンドロイドに溶接。動力源につなげよう」


いよいよマリオネットも武力を持つことになる。

それはリボルバーという、銃弾を連発できる最強の武器だ。


60体のアンドロイドが横並びになり、

順番にリボルバーを装着されていく。


田邊はその姿を見ながら、腕組みをした。

(鈴音・・・残念だが・・・アンドロイドは全滅する)


垣間見える友情も、これから全てを壊す思いで田邊は天を仰ぐ。

結局、田邊にはアンドロイドをこの世に無くすという目的しか頭にない。


そして、田邊は上階からユミエに叫んだ。

「ユミエ!二階に来てくれ!話したいことがある!!」


ボスからの命令を受けるとすぐさま二階に駆け上った。

この上下関係はどのようにしてできたのであろう。

この二人の関係に違和感がないのは、マリオネットの組織であるからだろう。


「どうしましたか。ボス」


「ユミエ、今後アンドロイドを操る人間を1人増やしたい」


「わかりました・・・。新たに操る人間は誰にしますか??」


「鮫沖だ」


(鮫沖・・・マリオネットに対して忠誠心があまりない・・・大丈夫なのか)


新たに操る人間に対して、心配になるユミエは歯を食いしばる仕草をした。

その顔を見て田邊が問いかける。


「ユミエどうした?鮫沖じゃ不安か?」


「鮫沖は任務中に躊躇する場面が見受けられる。未熟なところがあると思います」


「ユミエよりずっと経験を積んだ人間だぞ。心配する必要はない」


「しかし・・・」


反対意見をはっきりと申しても、田邊は引かなかった。

鮫沖を信頼している様子だ。



「鮫沖!!手術だ!マイクロチップを埋めるぞ」


これで操り人形を手に取って動かす人間が1人増えた。

ユミエ、鮫沖、そして田邊・・・。

3人がスパイプラグに指令を送る人物となる。


60体のアンドロイドを相手にサファイア=ファミリアは立ち向かうことになる。


次から次へとリボルバーがアンドロイドに付けられる。


サファイア=ファミリアのα型とは違い、

向きだした状態でリボルバーが備わっている。


全てのアンドロイドは右腕にリボルバーが連結されている。

右腕は完全に武装となった。


リボルバーを付ける前と、付けた後ではアンドロイドの変貌が凄まじかった。


「このアンドロイド達は、完全なる武装集団ね」



恐ろしいアンドロイド集団が声を揃えて田邊に言った。


「私たちは操り人形!この世は人間の支配下にある!何なりと申してください!!」


(何を言わしている・・・)

誰かの指令で、アンドロイドが声を揃えている。

不気味な言葉は、田邊によってあらわされた。


「いいねぇ!面白れぇ!!これがマリオネットだ!!」


田邊の奇声はアジトの外まで行き渡る。

外は真っ暗で、よどんだ雲がアジトの上空を包み込んでいた。


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