表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、桜小町はアンドロイドです。  作者: 山本 宙
3章~僕らの希望は+αにかかっている~
25/38

25話『乱れるスクランブル交差点』

 「全班員に告ぐ。2200年9月10日10時30分、今から渋谷繁華街でアンドロイド強奪作戦を決行する。目標数は10体だ。抵抗する者がいたら、何振りかまわず排除せよ。いよいよ我々マリオネットは、この国に宣戦布告をするのだ」


ユミエは無線で全員に発信した。

「A班、承知した」

「B班、承知した」

「C班、承知した」

「D班、承知した」

ユミエがいる場所はビルの屋上だ。

風がユミエの髪の毛をなびかせる。高い場所からは、渋谷を見渡すことができる。

さらには、ユミエの目線は各班の待機場所を覗かせることができた。


「私はこの場所から、スパイプラグ結合のアンドロイド全てに指令を送る。そのアンドロイドは操り人形となり、ここにいる全ての者は恐怖の渦に巻き込まれるだろう」


ユミエの笑みは、恐怖そのものだった。

そして、そっと目を閉じた。

「A班、A-佐貫、A-ミリア、目の前を歩くアンドロイドを拘束せよ」


ユミエの言葉通り、A班のアンドロイドが歩き始めて、目の前を歩いていたアンドロイドを取り押さえた。


「キャー!!」

通りすがりの人が悲鳴をあげる。


「今だ!スパイプラグを!!」


「B班A-・・・A-・・・・・C班・・・D班・・・」


ユミエが次々とアンドロイドに指令を送る。

操り人形が乱暴に周囲のアンドロイドを取り押さえる。

そして次から次へとスパイプラグを打ち付けられた。



ものすごい速さで、作戦は決行されアンドロイドは操り人形となっていく。

そして周りにいた人間は走って逃げていく。

走って逃げる人間にアンドロイドが手を加えることは無かった。


しかし、抵抗する人間に対しては、容赦なく体を押し付けて投げ飛ばす。



「作戦開始10分で10体のアンドロイドを強奪できたぞ。どうするユミエ?」

鮫沖がユミエに無線で知らせる。

ユミエの不快な笑みはおさまらない。ユミエは興奮冷めやらぬ状態となっていた。

「後、10体追加だ!!もっと!!もっと!!強奪だ!!!」


「何?もう引き返さないとアンドロイド警察がくるぞ」


「黙れ!!!」


罵声が無線から飛び出すようだった。


「チッ!」

舌打ちをしながら鮫沖がスパイプラグを握り締めて走り回る。



渋谷のスクランブル交差点には、追いかけるマリオネット集団と、逃げ回る民衆とアンドロイドで錯乱状態となっていた。


「でたなマリオネット。私たちが成敗するわ!!」


そう言った女は

スクランブル交差点の真ん中で堂々と仁王立ちする。


「秩序を乱す集団め。やっつけるわよ!α-ショコラ!」

「麗奈、お任せください」


α-ショコラは大剣を手に取った。



「何だ・・あのアンドロイドは・・・」


マリオネットが立ち止まった。

異様な空気が漂う。


「ユミエ、武器を持ったアンドロイドだ。何者かわからないが、退避命令を」


「いいえ、やっておしまい!」



2体のアンドロイドがα-ショコラに襲い掛かってきた。

α-ショコラが大剣を振りかざすと、2体とも体に電撃が走る。

しびれながらアンドロイドが動かなくなった。


「今よ!そのままスパイプラグから断絶よ!」

α-ショコラは大剣を持たない手の甲で2体のアンドロイドに触れた。


「大剣による支障は済まないが、これで操られることは無いだろう」


マリオネットが騒然とした。


「お前たち何者だ!!!」

鮫沖が大声で叫ぶ。


「私たちはサファイア=ファミリアよ。アンドロイドの命を、あなたたちから奪還するために立ち上がったの。アンドロイドは操り人形なんかじゃないわ!!」


「なんだと・・・」


ユミエは屋上から麗奈とα-ショコラを見ていた。


(何よあの大剣は・・・。このままでは、せっかく集めた操り人形が全部奪われてしまうわ・・・)



「鮫沖・・・退避命令よ。今すぐ逃げなさい!!」


命令を聞いたマリオネット集団が逃げ始めた。


「追いかけて!α-ショコラ!!少しでもマリオネットからアンドロイドを取り返して!!」


「御意!!」


逃げ惑うアンドロイドに、手の甲が触れる。

α-ショコラの手の甲に触れたアンドロイドは我に返るように立ち止まる。


「もう!!ふざけるな!!」

ユミエが怒り狂って大声を出した。



「撤退!!撤退だ!!」



戸惑う周囲の人たちの視線が、麗奈とα-ショコラに集まる。

何事もなかったかのように、α-ショコラが大剣を背中の扉に納めた。


「ありがとうございます」


次々と我に返ったアンドロイドが礼を言う。


「よかったわね。持ち主のもとに帰りなさい」

麗奈がそう言うとアンドロイド達は一礼をして走っていった。


「やった・・・マリオネットを追い払った・・・それにアンドロイドを5体も救ったわ・・・」


麗奈が感極まって涙を流した。


すると、アンドロイド警察が遅れて駆けつけてきた。

「何事ですか!!大丈夫ですか!!」




「麗奈、不味いです。私たちも撤退しましょう・・・」

「そうね」




アンドロイド警察に事情を聞かれると、α-ショコラの武器が見つかってしまう。

そうならないように、麗奈とα-ショコラはその場を去っていった・・・。


武器がある以上、サファイア=ファミリアも

アンドロイド法を犯した集団だ。


とにかく陰で戦うことしかできないサファイア=ファミリアも

大きな宿命を背負っている・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ