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私、桜小町はアンドロイドです。  作者: 山本 宙
2章~正義の秘密結社サファイア=ファミリア~
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22話『アルファー型とは、武器ありアンドロイドなのです。』

 ありえないほど儚い。

アンドロイドはこれほど脆いのか。

銃弾が当たったって動いているのではないのか?


なんなら不死身だろうって思っていた・・・・。そうじゃない。


アンドロイドも同じで、どこかで動かなくなるんだ。


「A-真子姫・・・。動いてくれよ・・・・」


菅原はアンドロイドを悲しい物と思える人間だ。


動かなくなったアンドロイドを

人間の死と同様。

弔うほどの思いが溢れている。

それが当たり前?この悲しみは本物だ。


抱きかかえる菅原に着信音が鳴る。

携帯を手に取り、応答する。


「大丈夫か?菅原君」


「A-真子姫が撃たれた」


「そこに鈴音たちが向かっている!!待ってろ」


「車両を用意してくれ・・・博士の家まで頼む」


「そうか・・・」

状況を察知した。もう、動かなくなったということを。


鈴音たちが合流して、すぐに博士の家に向かう。


「菅原殿・・・博士にA-真子姫は直してもらえるのでしょうか」


「わからない・・・」


A-桜小町とA-権蔵に抱きかかえられて、博士の研究室まで運ばれた。


「菅原君すまない。少し時間をくれ・・・」


うつむいたまま菅原は前を向くことができなかった。

(A-真子姫の目、悲しい目をしていた)


菅原の頬に涙が流れた。

それを見てA-桜小町がハンカチを渡した。


悲しみにふける人間は、アンドロイドに慈しみを受けた。

まるで人間が人間を励ますかのように・・・・。


「A-真子姫は大丈夫です!安心してください!」


心を包み込む言葉は、身体までも支えてくれるようだ。

白色のハンカチで目頭を押さえる。そして上を向いた。

涙が垂れ流れてこないように、麗しい目は瞼で隠された。



(マリオネットは恐ろしい・・・!)

菅原も初めて体験した。マリオネットとの遭遇を。


極めて危険な組織であることが分かった。


目を閉じていると金髪の女が浮かんできた。その女が口にした言葉。


(アンドロイドの命は金で買える代物。代わりなんていくらでもいるでしょう。こいつはもう終わり・・・)


「あの女・・・。アンドロイドのことを何だと思っている。ただの人形に過ぎないとでも言いたいのか・・・」


小さな声が流れ出てきた。

鈴音はそれに対して答えた。


「マリオネットの奴らは、アンドロイドは人形だ。としか思っていないよ。奴らはアンドロイドに対して、作戦を企てるための道具にしか過ぎないようだ」


「クソッ!」


怒りで拳が震えていた。


「菅原君、ちょっといいかい」

「はい・・・」


心配そうに皆が見守る中、博士に様態を伺う。


「A-真子姫は大丈夫なのか?」

「問題ない。断線を修復すればすぐに直る」


一安心して吐息がでる。

鈴音が菅原の背中をポンと叩いた。


「よかったな」


「皆に一つ相談がある」

鈴音と菅原が黙って頷く。


「マリオネットはもう丸腰で立ち向かう相手ではないようだ。凶暴な相手に立ち向かうため、アンドロイドを改造したいと思う」


鈴音が前のめりで返答する。


「それって!アンドロイド法に反するじゃないですか!!」


〇アンドロイドは武力を持ってはいけない。

〇アンドロイドは武器を保有してはならない。

それがアンドロイド法だ。


麗奈が部屋に戻ってくるなり、話に割る。

「それだとマリオネットとやっていることが同じね」

どうやら話を聞いていたようだ。


「麗奈、戻ってきたのか」


「私も博士から別の場所に出動命令を出されて行ってきたの。遭遇することができなかったわ」


壁に寄りかかって博士を見る。


「いいか、絶対にアンドロイド警察にバレてはいけない。これからおこなう改造は、普段は何も変わらない体だが、戦闘の時だけ、武器が出てくるよう改造する」


「なるほど・・・」


アンドロイドの武力改造は重犯罪になる。

それでも博士はやると決めた。


「確か過去にもそういう改造をおこなって捕まった人間がいたわ」



「そう、歴史上、改造されたアンドロイドは多く存在した。改造されたアンドロイドは皆、アルファー型と呼ばれていた」


淡々と説明をする博士に、A-桜小町が陽気な発言をする。


「ということは、私はα-桜小町になるのですね!」


(なんで嬉しそうなのだよ・・・)


「わかった。改造を許可します。それに早くA-真子姫を直してあげてください」


α(アルファー)型は国家の反逆ともいえる立場となってしまう。


マリオネットに対して博士は本気で戦わないとやられてしまうと考察した。


とにかくやられてばかりでは埒が明かない。

戦うためには強くならなければ勝ち目がない。


すべてはアンドロイドの未来のため・・・。


アルファー型の研究はもうすでに進められていた。

この時のために博士はすべて準備していた。

できれば、この武器をアンドロイドに装着したくないと思っていた。


しかし、事は反対に進んでいる。

研究を進めてわかったことは、マリオネットが国に対して優位に立っている状況を、博士はひもとく。


「これはアンドロイドの未来だけではない、私たち人間のためでもあるのだよ」


やられっぱなしのサファイア=ファミリアに、アルファー型への改造は反転攻勢の武器となるのか。


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