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私、桜小町はアンドロイドです。  作者: 山本 宙
2章~正義の秘密結社サファイア=ファミリア~
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21話『俺の生活はどうなる。』

 大学生の休日なんて滑稽だ。

時間があってお金が無い、多くの学生はそんなどうでもいい悩みを抱える。


何かしたいって思っていても

やりたいことがわからない。


夢に向かって突っ走る人間が羨ましいな、なんて上辺で思う。


何もなかった毎日が変わったのは博士と出会ってからだ。


部屋でテレビを観ていた菅原に一通のメールが入った。


出動命令・・・?。


(なんだか本格的なメールだな)


【From】右近博士


【本文】

渋谷の東急百貨店でマリオネットの目撃情報。

アンドロイドを強奪した模様。

菅原班はすぐに出動願う。




(・・・どこから得た情報だよ)



菅原はその場で立ち、アンドロイドを呼ぶ。


「A-権蔵とA-真子姫、今から渋谷の東急百貨店に向かうぞ」



「いよいよですな」

「私は、菅原殿をお守りしますわ!」


急ぎ足で現場に向かう。

菅原が住むマンションから東急百貨店までは距離がある。


電車で2駅先の渋谷駅に向かう。


「移動手段は公共交通機関だからなぁ、かっこよく自動車とか便利使いできないものかな」


この間にも、マリオネットは逃げてしまうのではなかろうか。

その前にアンドロイド警察が目撃情報を突き止めて到着しているのではないか。と、

移動中に、哀れとも思える考え事をしていた。


いよいよ渋谷駅に到着したものの、辺りを見渡しても変化が無い。

少し歩いた所の東急百貨店では人がごった返していて、

本当に強奪事件が起こっているのか確認が取れない。


菅原が携帯を手に取り、右近博士に電話をかける。


「現地に到着したが、人がいっぱいいてマリオネットがどこにいるのかわからない。ほかに情報はないのか?」


「そうだな・・・。鈴音君が遭遇したという金髪頭のユミエか、黒のワンボックスカーを探してみてくれ」


「わからない・・・」



黒い車はいくつかある。それにこんな街中に堂々と駐車するわけがない。


菅原は店の周辺を散策しても、それらしいものは見当たらない。


「A-真子姫、金髪の人がいたら教えてくれ」



アンドロイドの探索能力は高い、しかしユミエがここに来ているとは限らない。マリオネットは他にもいるはずだ。



情報が少なすぎて、探すだけで一苦労。

砂漠で爪楊枝を探すくらい難しいのではないかと思えてならない。


自分が何をしているのかもわからないくらい、探し回るだけで時間が過ぎていく。


「博士、もう諦めてもいいか。マリオネットはもうすでに現地にいないと思う。引き返すよ」


携帯を持ってそう話している途中、

一瞬だが、黒ずくめの者が遠くを歩いているのを目撃した。


「待て・・・。何か妙だった・・・。さっきの奴が怪しかった・・・」



「菅原君!!!駅裏だ!!!走れ!!!!」



「くそ!」



全速力で駅裏に走る。黒ずくめの者が歩いて行った方向だ。

アンドロイドも無駄のない姿勢で勢いよく走り出した。


「気を付けてください!菅原殿!」




(今から起こることは現実だ。夢ではない。マリオネットに遭遇しても、ひるむな!ひるむな!ひるむな・・・!)


菅原は自分の心に訴えかける。

明らかに恐怖を抱く相手に対して、理性を保つように胸を拳で強く叩いた。


角を曲がると、黒ずくめの者が背を向けて立っていた。


菅原が、かすれた声を吐き出した。

「お前・・・マリオネットか」




相手がゆっくりと振り向いた。


(男・・・?)



「何の用だ・・・」

「鮫沖様、この者はアンドロイドを2体保有しております。お気を付けて」

(不思議な力を持ったアンドロイドか・・・?)


何か話をしているが、菅原には聞こえなかった。


「東急百貨店で人目に気づかれず、アンドロイドを3体も盗めました。ここは引き揚げましょう」


菅原がいても気にせず、平然として車に乗り込もうとする。


「あの車にアンドロイドが!!!待てっ!!」


「何だお前は」


恐怖で足がすくむ。


こわばって一歩も踏み出せなかった。

「菅原殿!拙者が参ります!ここにいてください!」


A-権蔵がワンボックスカーに体当たりをした。

ワンボックスカーが大きく揺れる。


「こいつ!出せ!車を出せ!!」

「しかし!鮫沖様がまだ中に!」

「いいから出せー!!」



エンジンをふかして発進しようとしたその時、

A-権蔵がさらに体当たりをしてワンボックスカーを横転させた。


「何!?」


「A-真子姫!アンドロイドが中にいるかもしれない!すぐに青い光を当ててくれ!」

「わかりましたわ!!」


(まずい!こいつら、やはり車の中にいるアンドロイドが目的か・・・!)


A-真子姫が横転した車の上に乗っかり、扉を開けた。


「いた!アンドロイドがいましたわ!」


微動もしないアンドロイドが3体横たわり、まるで人形そのものだ。


「中に入ります!」


その瞬間、ユミエが車の方に戻ってきた。

「鮫沖!何事よ!」


「ユミエ!アンドロイドに指令を!!」

唐突の出来事だったが、

ユミエにとって緊急事態だということがすぐにわかった。

目を閉じて眉間にしわを寄せる。


3体のアンドロイドが動き始めた。

救おうとしていたA-真子姫は中に乗り込むため、片足を車の中に入れようとしていた。

3体のアンドロイドはその足を押し出してA-真子姫は車から突き飛ばされた。


「きゃっ!!」


そして、A-真子姫に向かって鮫沖が拳銃を2発3発と打ち込んだ。

「何をするんだー!!!」


「何もできないクズ野郎め・・・」

ユミエが菅原を睨んだ。そして酷い言葉をはく。

「アンドロイドの命は金で買える代物。代わりなんていくらでもいるでしょう。こいつはもう終わり。」


震えながらひざまずく菅原・・・。

倒れているA-真子姫は動かなくなっていた。

「A-真子姫・・・」


銃弾によって体に穴が開いていた。


3体のアンドロイドが協力してワンボックスを起こした。


「じゃあね、アンドロイドに心奪われるクズ野郎。二度と追ってくるな」


ワンボックスカーは走り出す。

菅原は追いかける気にもなれず、ただただ、A-真子姫を抱きかかえていた・・・。



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