表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/31

虚無の掌底

「準備はよろしいですか?」


律儀に確認するアール先生。

それに対して不遜なたいどでジョーカーが答える。


「ふん、遠距離魔法が効かぬなら近距離打撃か?無駄な事を。我が全属性反射鏡(アンチスパイラル)はどんな攻撃でも等しく相手に反射ダメージを与えるのだよ。結果は見えているぞ?」


「はてさて、結果はやってみるまでは誰にもわかりませんよ?」


先生の口元がニヤリと動く。


「その考え方、常人ならばいざ知らず・・・この我、天空超越者にして多次元宇宙の覇者たるjokerには、、、もはや既に漆黒の闇!」


・・・なんて?


「螺旋の因果列にメルトダウンし、後悔の大海を彷徨うが良い。」


・・・なんて?


「なるほど。」


先生絶対に解って無いよね!?


「では遠慮無く参ります。」


言うやいなや、アール先生が地面を蹴る。


カツンッ!


と言う音がし、足元の床が凹んだかと思うと先生の姿は消えた。

いや、正確には消えたと思えるくらい高速で間合いを詰めたのだ。

俺には辛うじて見えたけれど、多分ジョーカーには見えていない。


「え??うわっ!?」


一瞬で目の前に現れたアール先生に動顚するジョーカー。


「虚無の掌底!」


技名を口に出し、ジョーカーの前に張り巡らされている全属性反射鏡(アンチスパイラル)に掌を押し当てる。

先生の手の甲に青白い紋章が現れたその時。


パリーンッ!


全属性反射鏡(アンチスパイラル)は音を立てて砕け散った。


「な!?バカな!!??」


驚愕するジョーカーの腹に逆手で再び掌底を喰らわせるアール先生。


「グエッ!!」


こうなってしまうと厨二キャラもクソも無い。

グルンと空中で一回転して壁に叩きつけられたジョーカーは


「キュゥ〜〜」


と可愛らしい唸り号を挙げて気絶した。


「虚無の掌底、相手の特殊スキルを打ち消す効果が有る私の奥の手です。ちゃんと修行をしてオーラを纏えるようになればアンチ・・・何とかかんとかが破られても最後の掌底でこれ程ダメージを喰らう事は無くなりますよ?・・・って、もう聞いていませんか。」


アール先生激強じゃ無いですかやだー。

いくら理想の力が戦闘向けでもキチンと修行した歴戦の元英雄相手では分が悪いみたいだ。


サカラワナイデヨカッタ。


しかし、このバカ強おじいちゃんが挑み続けて全く勝てなかった魔王って・・・いったいどんだけ強いんだ?いくら戦闘向けの理想の力が有るからって本当に太刀打出来るのだろうか?


不安が顔に滲み出ていたのを見逃さずアール先生が俺に話しかけてきた。


「安心して下さい。私の元でしっかりと修行すれば、直ぐに私の寄せ集めの力なんて超えられますよ。一緒に頑張りましょう。」


にこやかに笑いながら手を差し出す老紳士に、俺はひとまず握手で応えるしかなかった。



キュゥ〜っと気絶したジョーカー君が起きたのはそれから1時間後だった。


その間に俺はアール先生からこの世界の戦闘技術について色々聞いていた。


大雑把にエスブリッジの戦闘職業、ジョブ・・・とでも言った方が解りやすいか・・・は次の様に分類される。

武器を持って戦う【戦士】

素手と格闘技で戦う【闘士】

魔法で戦う【魔道士】


さらに戦士は【剣士】【槍術士】【騎士】などに細かく分類され、闘士も【拳闘士】【爪術士】【武術家】などに細かくカテゴライズされる。


魔道士は特に複雑にして種類が多く、各種属性の名を冠する・・・たとえば【炎魔道士】や【水魔道士】、【風魔道士】などが有ったり、【召喚士】や【回復魔道士】なども有る。

たとえばライジスさんは【風魔道士】では有るが【英雄召喚士】でもある。

かと言って他の属性の魔法が使えないわけでは無い。

しかし英雄召喚自体が一般認知度されていない事と特に風の魔法が得意な事で【風のライジス】と呼ばれているのだ。

冷静になるともはや【魔道士】と言う単語すら付いていないなぁ。


さらに剣術と魔法を両方使って戦う【魔法剣士】のような複合ジョブもそんざいするらしい。

うーむ、余り硬く考えず出会った奴ら毎に覚えた方が良さそうだ。



何とか意識を取り戻し、えっちらおっちら立ち上がったジョーカーにアール先生が語りかけた。


「大丈夫ですか?貴方は確かに充分に強いですが、ご覧の結果の通りです。いくら強大な理想の力を持っていても、使い方や戦い方を知らなければ、それは只の巨大なエンジンでしか無い。力をコントロールし有用に扱う術を学ぶのです。不服でしょうが約束は約束です。私の元で修行して貰いますよ?」


さてさて、コイツの事だからあっさりとは行くまい。

散々ごねまくるんじゃ無いか?


「了解致しました、我が師よ。」


・・・あれ?


「我が力の真なる封印、貴方の元でならば解除出来るかもしれません。悠久の師事を盟約として誓いましょう。」


・・・うん?

よく見るとカタカタ震えてるなぁ・・・。

ああ、要するに腹パン喰らってマジビビリしたのね・・・。

まあ実際アール先生の強さを目の当たりにして師匠足り得ると判断したのも本音だろう。

恐怖半分、尊敬半分、と言った所か。


「受け入れて頂けて助かります。」


多分この人もジョーカーの心情は見透かしているんだろ〜なー。

怖い怖い。


「では早速、お二人には修行に入ってもらいます。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ