俺tueee考察
今鹿風谷68歳改めアール先生から自分が転移した経緯とこの世界の危機的状態の説明をひとしきり受けた今鹿風谷14歳改めジョーカーは、再び
「フハハハハハハハハッ!!」
と不敵に大声で笑い出した。
「やはり!やはり我は選ばれし存在で有ったか!!今まで天空の螺旋力が枯渇していたのも全てこの日の為で有ったのだな!!」
はい始まりました。
あの娘に・・・植野歩女に出逢って恋に落ちる前の俺って、ハタから見るとこんな感じだったのかよ。
これは男も女も寄ってこないわ。
などと半分呆れ、残り半分で自己嫌悪しながら眺めて要ると、アール先生が一歩前に出て話しかけた。
「ではジョーカー君は、魔王討伐に協力してくれると言う事で宜しいのですかな?」
ジョーカーと呼ばれた事が嬉しいのか、14歳の俺はニヤニヤ笑いながらポーズをとると、
「フハハハハハ!良いだろう我が盟友TTRよ!我に宿りし封印の天空螺旋邪竜の力の一端をお前に貸してやろう。」
と快諾した。
マジかコイツ!?
躊躇が一切無い辺り、さすが厨二病全開の末期患者だわ。
この末期患者を一瞬で目覚めさせ真っ当な生活に戻してくれた植野歩女という女の子の存在の偉大さを改めて痛感した。
・・・ん?
あれ、そう言えば・・・
「ライジスさん・・・英雄召喚士のライジスさんってどうしたんですか?いつの間にか居なくなっちゃったんですけど?」!
「ああ、彼女には少し外してもらいました。何しろあの容姿・・・声もですが、若かりし日の今鹿風谷のドストライクですからね。貴方の時のように上手く作用するときもあれば、まったく逆効果になってしまう場合も有りますから。」
「ん?あれ?でもそうすると・・・この召喚は誰が行ってるんですか?」
「ああ、英雄召喚は時限式でして。儀式さえすませてしまえば召喚士が居なくても指定した場所に勝手に召喚されるんですよ。貴方が召喚された時にも彼女は近くに居なかったでしょう?」
た、確かに。
居たのはフードを目深に被った女性だけだった。
「あの時貴方の召喚を見守って居たのは、この私、アールファンクラブ会員No. 5番の方です。ボランティアで見張って居てもらったのです。」
「はい?ふぁ、ファンクラブ!?」
「ええ。老いてなお、皆を魅了する【カリスマ】の理想の力は健在でして、相変わらずモテてモテてしかたありませんよ、お恥ずかしい。」
ぐぬぬぅおのれぃ。
「おい貴様達!我を忘れ過ぎ!?」
ジョーカーがオレ達の話に入ってきた。
だいぶ御立腹。
ファンクラブの衝撃が強過ぎてすっかり忘れてた。
「これは申し訳ない。ではジョーカー君、そして最強君、貴方達には魔王討伐に行ってもらうわけですが、その前に修行をしてもらいます。」
「え?修行??」
「ええ修行です。確かに貴方の理想の力である【世界最強】や、彼の理想の力である・・・えっと、厨二病??」
「天空超越者だ!!」
厨二病から鋭い突っ込みが飛ぶ。
「ああそうそう【天空超越者】・・・それらは理想の力としては私の【莫大資金】や【カリスマ】より遥かに戦闘向きですが、直ぐに一から十まで操れるようになる訳では有りません。特に戦闘スキルや技術スキルは熟練が必要なのです。」
なるほど、確かに現状「お前の力は【世界最強】だよー」と言われても、凄くモヤっとしている。
何をもって最強足り得るのかがまるで検討が付かない。
取り敢えず身体が頑丈な事位しか解らない。
「なので、先ずは自分の力の使い方を学んでもらいます。」
「解りました、でどんな修行をすれば・・・」
と、修行に応じようとした矢先、高らかな笑い声が再び召喚の間に鳴り響いた。
「フハハハハハ!修行だと!?笑止!笑止千万だな!!この天空超越者jokerには必要無いわ!!我が螺旋力と暗黒神力を持ってすれば魔王など一瞬にして灰燼と期さしめてくれる!!」
あっちゃ〜、アイタタタぁ。
14歳の俺、飛ばしてるなぁ。
まあ【厨二病】と【修行】って二つのワードは似ているようで実際は全然別物なのだ。
彼らの強さに対する概念は【秘められた力の突然の覚醒】だったり、【封印された力の解放】だったり、要するに【俺tueee】にカテゴリーされるものだ。
初めから強い!に美学を感じるのだ。
それは努力したり修行したりとは無縁の世界なのでジョーカー君が反射的に修行を拒絶したのは当然と言えば当然では有る。
「なるほど、では貴方は修行などしなくても魔王に勝てる・・・と、そう仰るのですね?」
「フッ、当然だ。我が秘められし神魔断命の力を止められる者などおらぬわ。」
はあ〜〜。
と、アール先生は深い溜息をつく。
うわ!?
なんか恐いな。
「では、私と手合わせしましょう。もし貴方が私に勝てたなら、修行はしなくて結構です。しかしもし私が勝ったならば、私に従い修行を受けてもらいます。」
「なぜこの天空超越者である我がお前の指示になど・・・」
言いかけたジョーカーの言葉を、今度はアール先生が遮る」
「魔王に連戦連敗の、十数年前に英雄を引退した、戦闘系の理想の力も所持していないロートルにまさか負けませんよね?」
あからさまな挑発にジョーカーが言葉を詰まらせる。
「い、良いだろう。我が力の深淵!とくと味わうがよい!!」
こうして、俺68歳と俺14歳のバトルが始まった訳だが。。。
しかしジョーカー君、一度も自分の力を試していない状態で良く受けなたぁ。
などとノンビリ考えていたのだが、次の瞬間俺はフと気が付いてしまった。
あれ〜、俺、蚊帳の外じゃね?
まあ良いけど。




