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レベルアップ

「サイキョー!おいサイキョー!!」


「ちょっと!サイキョー!大丈夫っ?」


けたたましい仲間たちの声に混濁とした意識が薄れ、だんだん現実が近づいて来る。


黄金色に包まれていた辺り一面の景色は消え去り、元々いた場所である乾き知らずの滝・・・と、言っても黄金魔竜の一撃で滝は消し飛んで湖が出来つつあるが・・・の、近くの景色が自分の体の周りに現れた。


「ん?あれ?ここは・・・?」


仮眠を中途半端に取った時のようなスッキリしない気分だが、どうやら俺は消え逝く黄金魔竜の意識から解放されて外に出てきたらしい。

時間軸的にも黄金魔竜を倒した直後みたいだ。


「おいおい本当に大丈夫か同志最強よ?

わずか数秒の刹那とは言えお前ほどのものがメンタルアウトするとは珍しいな。」


「あ、ああ大丈夫だ。大丈夫だよ。」


「一体どうしたんだ?魔竜を倒して気が抜けたか?俺たちが呼びかけても虚空を見つめて微動だにしないなんて。」


「ちなみに俺何秒くらい固まってた?」


気になったので一応きいておく。


「いやまあせいぜい10秒くらいだが?」


なるほど、本当にあの空間とは時間の概念が違うらしい。

黄金魔竜とのやりとりはこちらでは10秒ほどの出来事みたいだ。


「実はな、、、」



俺はことのあらましをジョーカー、ホークス、リサの3人に話した。


「な?マジかよ、あの魔竜も転移した今鹿風谷・・・つまり違う時間から飛ばされた俺だったのか。」


「まあ大夫お年寄りだったみたいだけどな。死の間際に転移したから元の世界にも戻らなくても良さそうだったし。」


リサだけはコメントに加わらず無言を貫いていた。

まあジョーカーはリサの正体知らないし、このまま知られない方が良い気がするからな。


「そんな事より黄金魔竜から受け継いだ力が見てみたいぞ、同志最強よ!」


散り際に魔竜から託された力、ソレが確かに俺の身体の中で渦巻いて居るのが解る。

これならば今までとは比べ物にならないほどの力と魔力を発揮できそうだ。

しかし、その前に。


「まあまてよ、確かに魔竜の力も気になるが一先ずもう一つの戦果を確かめさせてくれ。」


「もう一つの戦果?何の事だ?」


「レベルだよレベル!俺たちは伝説の魔竜を倒したんだぜ?物凄い経験値が入ってるハズだろ?」


「確かに!よし観てみよう!」


俺たち4人はじっとお互いの胸部の辺りを凝視する。


リサの胸元は相変わらず凶悪でウブなジョーカー君が顔を真っ赤にしていたが、そんなヤツをみてリサがニヤニヤしていたのを俺は見逃さなかった。

・・・こいつ、楽しんでるな。


さてさてソレはさて置き、乾き知らずの谷に入る前の俺たちのレベルは

俺ことサイキョー20

ジョーカー20

ホークス42

リサ31

だったんだがどれくらい上がったかな?

俺はまずジョーカーを見た。


「おお!スゲーカンストしてる!」


「いやいやサイキョー、お前もカンストしてるから!」


「マジか!?」


何と俺とジョーカーのレベルはカンスト、99まで上がりきっていた。

おそらく黄金魔竜に致命的なダメージを大量に与えていたのが俺たち2人だったからだろうけど、、、それにしても上がりすぎだろ。

はぐれ●タルも真っ青な経験値だ。


「そういう貴方もなかなかのレベルアップよホークス!」


リサがホークスを絶賛した。

どれどれ・・・


「おお!レベル90!!」


「り、リサも結構上がってるぞ!」


胸を凝視しながらジョーカーがリサに告げる。


「お、リサも80まで上がってるぜ!」


ホークスもリサも、俺やジョーカー程ではないにしろ魔竜にダメージを与えていたからなぁ。

それなりにレベルが上がったみたいだ。


となると、俺の目論見はかなり上手く行く可能性が高い。


俺は今だにワールドカップで日本が勝った時の渋谷のスクランブル交差点の若者みたいなはしゃぎ方をしている獣人達の方に歩み寄った。

その中央には奴らのリーダー、リカントロードのウィスハートが居る。


「よう、お疲れさん。」


あっけらかんと話しかけて来た俺に一瞬固まるウィスハート。

しかし、一呼吸すると覚悟を決めたように話し始めた。


「とんだ邪魔が入ったな。さあ仕切り直して戦おうか。・・・もっともあの黄金魔竜を倒してしまうような奴らに勝てるとは思えないがな。」


それでも降参せずに闘いを挑んでくるのは一族の長としての責任故か。


「我が死んでも、どうか他のリカント達の命だけは助けてやってくれ。頼む!」


「いやーその件なんだけどな、俺達と・・・人間と同盟を結ばないか?」


「はっ??」


突然の申し出にウィスハートがキョトンとした顔でこちらをみる。


「お前たちリカントは魔王軍では無いんだろう?だったら俺達の町、アールさんの屋敷とその向こうの町を守護してくれないかな?」


「何をバカな!?」


さて、ここからがネゴシエーター最強の腕の見せ所だ。

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