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joker VS ウィスハート

筋骨隆々な獣人モンスターからのご指名を受けた瞬間、ジョーカーが一瞬キョドッタのを俺は見逃さなかった。

まるで突然先生に当てられてテンパる生徒の様だ。

・・・うん。

こいつ、今ボーっとしてたな。

この緊迫した状態でポケーっとしているとは、ある意味では大物だわ。


ジョーカーは若干のタイムラグの後、思い出したように笑い出した。


「ふ、ふはははは!えっと、、、何て?」


ズッコケるリサとホークス。


俺は慌てて耳打ちする。


「あのリカントロードがお前と戦いたいんだってよ!」


「は?何故我がケモノと?面倒臭きこと神の如し!断る!」


「いやいやいや!蒼天の実や他の資源がかかった大事な勝負だよ!?持って帰れないとアール先生に怒られるぞ?」


「う・・・、師匠。いやしかし、ケモノ臭き事神の如し。・・・すなわち!最強が戦えば良いでは無いか!」


リカントロードのウィスハートが「ゴホンッ!」と咳払いをする。

聞こえてますよジョーカーさーん。


「えっとだな。そうだリサに・・・リサにジョーカーのカッコイイ所を見せてやれよ。」


「よし我に任せておけ!!」


即断でした。


何だか釈然としないが、まあ良かった。

改めてウィスハートの方に向き直り右手を顔の前に当て腰をくねらせながら奇妙なポーズを取るジョーカー。


「さて、そこの獣よ。我との死闘(デュエル)を望むとは・・・我が容姿に惑わされる事神の如しだな。」


何?神の如し流行ってるの?お前の中では。


「この我の幼き姿は神が封印せし仮初めの擬態(アンチテーゼ)。真なる力は我が魔力に内包されし螺旋の天空力だ。さあ共に狂乱の舞踊(ロンド)を踊ろうでは無いか!」


ウィスハートの顔があからさまに曇る。

そして・・・


「・・・チェンジで。」


きっとものすごく面倒くさくなったんだろう。

チェンジ入りました。


しかし


「そうなると、相手は【紅の剣聖】かもしくは俺だけど、良いのかな!」


と言いながら俺は再び地面を殴りつける。


ドゴーーーーン!!!


今度は半径2メートル程のクレーターが空いた。


「グヌゥ。」


再び唸り声を上げるウィスハート。


「わ、解った。そこの頭のおかしな小僧で我慢する。」


「おい!?」


ジョーカーが抗議の声を挙げたが、今は華麗に無視する事にした。


「その代わり、我が勝ったら北の森は諦める約束、守るのだぞ。」


「ああ勿論だ。男に二言は無い」


「よし、では始めよう。小僧、恨むならそこの薄情な男を恨めよ。行くぞっ!」


ウィスハートが攻撃に移る為に身構える。


「さあ来るが良いケモノの王よ!我が魔力の糧にしてくれようぞ!」


ジョーカーは相変わらずの厨二病ポーズだ。


「戦いを、舐めるなーーっ!!」


解る!解るよその気持ち!

あんなよく解らないふざけた構えで舐めた感じに挑発されたらキレますよね。


しかし、結果を言ってしまえば舐めてかかっていたのはウィスハートの方だったのだ。

目の前の相手を子供と侮り闇雲に突っ込んだのだから。


ゴインッッ!!


ジョーカーの手前で壮絶な衝突音を上げてウィスハートが弾き飛ばされた。


全属性反射鏡(アンチスパイラル)!」


分厚い螺旋超力の障壁にマトモにぶつかり自らの全力の突進のエネルギーを全てカウンターで自分自身に喰らい、遥か上空へ漫画のように錐揉みしながら吹き飛んで頭から落下するウィスハート。

その様はまるで必殺技を受けたあとの聖闘士○矢のようだ。


「グアアっ!」


頭を抱えてのたうちまわるリカントロードに周りで見守っていたリカントがザワつきだす。


「まだ終わらんぞ?螺旋神雷風(ゴッドローリングバースト)!!」


螺旋の渦と雷撃の嵐を浴びて更に吹き飛ばされるウィスハート。


「く・・・そ、がああああっ!!」


気合い一線!鋭い爪で螺旋の渦を切り裂きボロボロになった身体にふたたび力を込めると、力強く叫ぶ。


「猛る力よ、我らに宿り宿敵を穿て!

【ライオンストライク】!!」


右腕が赤い光を放つ。

バフが掛かり強化された右手とその爪で超スピードで距離を詰め今度は突進では無く斬撃でジョーカーを切り裂きに掛かる。


「ウオオオオッ!」


カキーーンッ!!


またしても弾かれる攻撃、しかしウィスハートはそれも予測のうちの一つとばかりに驚きもせず身体を捻り横薙ぎにジョーカーの背面から爪で切り裂きに行く。


「どうだっ!?」


ガキガキーンッ!!


三度弾かれる攻撃。


「ふはははは!残念、全属性反射鏡(アンチスパイラル)は360度を覆い尽くす常闇(ダークネス)(プリズン)なのだ。」


おおっ?

アール先生にはアッサリ破壊されたけど中々の防御力じゃん、全属性反射鏡(アンチスパイラル)

破壊手段がないと相手を完封できてしまうとか、チートだな。


「さらに追撃のぉ、螺旋追撃(ニド・ニードル)!!」


ザシュザシュ!!


螺旋の槍で突かれたウィスハートの両肩から光の粒子が漏れる。

これは大ダメージだ。


「クソっ!強いっ!!」


「さて、そろそろトドメを刺してやろう。我が魔力の本流に飲まれ天界(エデン)へ旅立つがいい!」


あ、ヤバイ。

出来ればトドメは刺して欲しくないんだよなー。

一連の流れを観ていて思ったのだが、ウィスハートは意外と理性的で魔物らしからぬ部分が有る。

リカント達とは出来れば交渉して協定を結びたい。

仕方ないなぁ、面倒臭いが俺が割って入って止めるしかないか。


「よしジョーカーチョット待った!」


俺が声を掛けた瞬間、渇き知らずの滝の地下から巨大な光が天にめがけて吹き出し、滝を消しとばした。

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